卵子凍結とは

卵子凍結は、将来の妊娠・出産に備えて、若く、質の良い卵子を凍結保存することです。

近年、女性の社会進出に伴い、晩婚化が進んでいます。
現在の仕事をもっと頑張りたい・キャリアアップしたい。
結婚はしたいけれど、まだ理想の相手に出会っていない。...など
様々な要因から、必ずしも若いうちに結婚し、子どもを授かり、出産するとは限りません。

年齢が上がるにつれて、卵子の質は低下し卵子数も減少します。
それは、受精後、胚盤胞となる数や胚盤胞の質、そして妊娠率にまで影響します。

若いうちに卵子を凍結した場合、将来理想の相手と出会ってから
妊娠に向け、体外受精の治療へ進むことが可能です。
近年、科学技術の発展により、卵子凍結の技術は進んでいます。

当院では、ガラス化凍結保存技術(Vitrification)による卵子凍結を行っています。
極少量の濃度の高い冷凍保存液を使用し、急速冷却(>20,000℃/min)を行うことで、凍結時の氷晶の発生による細胞の損傷を避けることができます。
凍結卵子は-196℃の液体窒素の中で保存され、卵子の品質に影響することなく、長期間の保存も可能です。

卵子凍結は、ご自身のライフプランに合わせて行うことができます。

女性の卵子の在庫についてご存じですか?

研究により、産まれたばかりの女児の左右の卵巣には、卵母細胞が約100万個あることがわかっています。
初潮から閉経までの排卵数は500個以下であり、その他の多くは排卵されず細胞死に至ります。更年期になると、残っているのは僅か約1000個です。
このように、女性の卵子の「在庫数」は年齢とともに少しずつ減少していきます。

卵子凍結が必要なのはどんな人ですか?

卵子凍結は、卵巣機能が衰退していない、若くて健康な黄金期に卵子を凍結し「希望」を保存する、「生育力保険」です。

ライフプラン

ライフプラン

仕事、留学、同性のパートナー

未婚女性

未婚女性

現時点、結婚や妊活の予定がない方

卵巣機能低下

卵巣機能低下

卵子凍結保存による「将来への希望」の凍結保存

悪性腫瘍(がん)

悪性腫瘍(がん)

化学療法や放射線療法などを受ける予定がある方

無精子症

無精子症

体外受精の治療中、奥様の採卵日にご主人様の精液から精子が採取できなった方
(無精子症の場合、卵子を凍結し、台湾の法律に基づいて精子バンクのマッチングを待つことができます)

その他

その他

その他の理由で卵子凍結を希望される若い女性

卵巣機能はどうやって評価しますか?

卵子の状況は、卵子の在庫量(AMH)と染色体の質(異常率)の2方向から考慮されます。

  • AMH(抗ミュラー管ホルモン)

    AMHは卵胞から分泌されるホルモンで、卵子在庫量を確認するための最も重要な指標です。
    女性の卵子数は生まれた時から決まっています。思春期になると、年齢とともに卵子の数が減少するに伴い、AMHの数値も低下します。
    卵子の在庫量検査により、卵巣機能を確認し、その後の治療に役立てることができます。

    AMHと卵巣年齢の関係
    卵巣年齢 25歳以下 35歳 38歳 40歳 43歳以上
    海外の学会 >6 4 3 2 1
    当院 >6 2.2 1.3 0.9 0.7
    AMHと治療プラン
    AMH (ng/ml) >3 0.8~3 ≦0.8
    卵子の在庫量 十分 明らかな減少 深刻な減少
    予測される採卵数 >4個(10±2) 2~4個 0~2個
    排卵誘発方法 高刺激 低刺激 自然周期

    ※生理の2~4日目にAMH検査を行うことをお勧めします。

    検査費用:800台湾ドル(約26米ドル)

  • 卵子の質

    年齢が高くなると、卵子も老化し染色体の異常率も上昇します。
    当院の統計によると、35~38歳では、約3個の胚盤胞のうち1個は正常な胚盤胞と予測されます。
    43歳では、1個の正常な胚盤胞を得るには約7個の胚盤胞が必要と考えられます。

    診察では、医師がAMHと年齢をともに考慮し、治療プランを組み立てます。

採卵周期

1回の採卵には約2週間が必要です。
また、採卵手術当日の超音波検査で小さな卵胞が確認できた場合は、排卵誘発の注射や内服薬を約1週間継続して卵胞の発育を促し、同じ周期中に採卵手術を2回行う(二段階採卵)ことも可能です。
二段階採卵で一度の生理周期における採卵数を増やすことにより、目標の卵子数に達するまでの時間を短縮することができます。
ただし、同じ周期中に採卵を2回行えるかの判断は、卵胞の発育状況などにより医師が行います。誰でも、どの周期でも機会がある訳ではなく、2回目の採卵を行える機会は、ご年齢が高い方やAMHの数値が低い方に比較的多くなっています。

採卵回数はどのように決定しますか

卵子が受精後、胚盤胞になる確率は約1/3です。
仮に10個の卵子があった場合、融解・受精の後、約3個の移植可能な胚盤胞を得られます。
また、年齢により胚盤胞の正常率も異なります。正常な胚盤胞を得るため、採卵周期を複数回繰り返して卵子の収集を行うことが必要となる場合もあります。

  • ・AMHにより、1回の採卵周期で採卵できる卵子数を予測できます。

    • AMHが3以上の場合、1回の採卵周期で通常10±2個程度の卵子が凍結できます。
    • AMHが0.8~3の場合、1回の採卵周期で通常2~4個の卵子が凍結できます。
    • AMHが0.8以下の場合、1回の採卵周期で通常0~2個の卵子が凍結できます。
  • ・年齢により、凍結保存が必要な卵子の数は異なります。

    若い女性の卵子は質が良く、染色体の正常率も高いです。年齢が上がるにつれ、染色体の正常率は急速に低下するため、多くの卵子を収集することが必要となります。

  • ・ P Code

    コウノトリ生殖医療センターの新しい家族を迎えるための合言葉。

    共に歩み、達成したい目標です。

年齢 卵子数 胚盤胞数

IVF3.0+
(PGT-A/PGS+ERA)

21~30 10 3 1~2
31~34 11 4 1~2
35~37 15 5 1~2
38 20 6 1~2
39 24 8 1~2
40 24 8 1~2
41 30 10 1~2
42 35 12 1~2
43 42 14 1~2
44 64 16 1~2
45 72 18 1~2

31~34歳で凍結した11個の卵子(成熟卵)は、将来受精を行うと約4個の胚盤胞となります。その内、半分の胚盤胞は正常であると予想されるため、PGT-A/PGS検査とERA検査を受けることで、約90%の確率でお一人からお二人の子どもを産むことができます。この表に基づき、将来受精後、正常な胚盤胞を得るために採卵を複数回行う場合もあります。