着床前遺伝子診断(PGT-M/PGD)
着床前遺伝子診断(PGT-M/PGD)とは、遺伝性変異を保有するご夫婦を対象に、生まれてくる子どもが同じ遺伝性疾患を引き継がないよう、胚盤胞の遺伝性変異を移植前に調べる検査です。
優性もしくは劣勢単一遺伝子疾患を保因するご夫婦の子どもには、1/4~1/2の確率で同じ遺伝子疾患が引き継がれます。よく知られている遺伝子疾患には、サラセミア、血友病、脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳変性症、強直性脊椎炎などがあります。検査では、家族の血液サンプルの遺伝子を分析し、プローブを作成します。その後、胚盤胞から一部の細胞を採取し、胚盤胞に遺伝子変異がないことを確認して移植を行います。
対象となる方
・医学的に重篤とされる遺伝性疾患が子どもに遺伝する可能性がある方
流れ
- 遺伝性変異の診断報告書を医師に提出します。
- 検査を受ける夫婦及びその家族の採血、もしくは口腔粘膜細胞の採取を行います。
- 遺伝形式を分析し、プローブを作成します。
- 治療を開始します。
- 胚盤胞から一部の細胞を採取し、PGT-M/PGD検査を行います。
- 胚盤胞に遺伝子疾患がないことを確認してから移植します。
※体外受精治療(採卵)はプローブ作成前に開始することも可能ですが、プローブが作成できなかった場合、PGT-M/PGD検査を行えません。
※卵子提供を受ける方は、プローブが作成できた後に卵子の融解と受精を行います。
※卵子提供を受ける方は、プローブが作成できた後に卵子の融解と受精を行います。
PGT-M/PGD検査で検出できる疾患
血友病・サラセミア・強直性脊椎炎・軟骨無形成症・脊髄性筋萎縮症など。その他の検出事例はこちらをご参照ください。
その他の検出事例
検出事例に記載されていない疾患については、医師にご相談ください。
当院におけるPGT-M/PGD検査での検出事例
遺伝子疾患 | 件 |
---|---|
サラセミア(Thalassemia) | 10 |
強直性脊椎炎(Ankylosing Spondylitis) | 9 |
血友病(Hemophilia A) | 4 |
軟骨無形成症(Achondroplasia) | 1 |
脊髄小脳変性症3型(Spinocerebellar Ataxia, SCA3) | 1 |
脊髄小脳変性症6型(Spinocerebellar Ataxia, SCA6) | 1 |
フェニルケトン尿症(Phenylketonuria, PKU) | 1 |
検査の限界
検査対象とされない遺伝子疾患、非家族性遺伝子疾患、染色体微小欠失などはPGT-M/PGD検査では検出できないため、妊娠後は妊娠初期の新型出生前診断(NIPT)または妊娠中期の羊水検査の実施をお勧めします。また、遺伝形式が特殊な場合、プローブを作成できない可能性があります。
費用
・プローブ作成:約2,951米ドル
*プローブが作成できなかった場合、プローブ作成費用は返金いたします。
・生検:約148米ドル/個
・送検:約983米ドル(個数に関わらず1回につき)