2016-10-12

生殖医療 命が始まるときー台湾イズム│中国新聞社

生殖医療 命が始まるときー台湾イズム

高い医療レベルと安い医療費を強みに、2000年代後半から「医療ツーリズム」市場の開発に力を入れる台湾。
生殖医療の分野も例外ではない。
07年に「人工生殖法」が定められ、卵子や精子提供による不妊治療を認める公的ルールができた。
政府のお墨付きの下で、積極的に外国人患者を受け入れる医療機関は増えた。

台湾の空の玄関口「台湾桃園国際空港」から車で40分。
新竹市にある「コウノトリ生殖医療センター」もその一つだ。
2年前、地下3階、地上6階の自院ビルを新築。
海外からの患者向けの宿泊室や受付フロアを設けた。
まさに、医療ツーリズムに対応するホテルのよう。
年に数百件得tがける卵子提供の約半数は、日本や中国などの海外からの患者という。
日本語に堪能な台湾人スタッフも4人常駐し、空港までの送迎も行う。
頼興華院長(55)は「台湾の新しい相当も『国際医療をより推し進めよう』と意気込んでいます。同じアジアの日本の夫婦を手助け出来、わが子を得てもらう機会が増えれば、互いにこれ以上幸せなことはありません」とにこやかに語る。

同院が力を入れる医療メニューは卵子提供にとどまらない。
需要が増すと見込んでいるのが未受精卵の凍結保存だ。
将来、妊娠がかないやすくなるよう、少しでも若いうちに卵子を採取して凍結しておく。
日本では、「まだ安全性や有用性が明らかでない」との関連学会の見解もあり、手掛ける医療機関はごく少ない。
頼院長は「日本人患者の潜在ニーズはきっとある。いろんな選択肢を知ってもらえるよう、情報を伝えていきたい」と意気込む。
近く、日本語版の病院ホームページを作るという。

世界を市場に、高度な生殖医療に取り組む台湾。
不妊大国ニッポンに注がれる視線も熱い。
インターネット上の掲示板やブログには今や、「台湾で卵子提供を受けた」という日本人の体験談があふれる。
関東地方で暮らすある日本人夫婦も先月下旬、卵子提供を受けるため、初めて台湾に渡った。やはり、日本での長い不妊治療の末にー。