移植後に気を付けてほしいこと

胚盤胞の移植のあと、1週間(場合によっては4・5日目)から2週間の間に採血検査を行い、着床しているかを確認します。妊娠6~7週目には、超音波検査で胎嚢や心拍の確認、その後妊娠12~14週目まで経過観察を行ったのち、当院を卒業となります。ではこの期間、どのようなことに気を付ければ良いのでしょうか?

2023-03-08

移植後に気を付けてほしいこと

薬は決められた量・頻度で服用、自己判断で中止しない


移植後の薬剤として一般的によく見られ、規則的に使用する必要があるのものとして、エストロゲン、黄体ホルモン、抗血栓薬、ステロイドなどがありますが、実際に使用する薬や使用量は、一人ひとりの状況により異なってきます。

胚盤胞の着床期では、まだ胎盤の形成が完了していないため、もし移植周期にエストロゲンや黄体ホルモン薬の服用によりホルモンを補充していた場合、急に服用をやめてしまうと、出血につながり着床に影響を及ぼします。

抗血栓の薬は血栓によるリスクを抑え、ステロイドは免疫反応にかかわる薬です。服用量の調整や、服用をストップするかどうかは、必ず個人の状況により判断を行います。
 

採血・超音波検査による経過観察


胚盤胞の移植後、1週間(場合によっては4・5日目)~2週間は採血による妊娠判定(b-hCGの測定)を行い、胚盤胞の着床の有無を確認するほか、黄体ホルモン、Dダイマー(血栓指数)や白血球数を検査することで、薬の調整が必要となるかを判断します。

超音波検査で胎嚢の確認を行うまでは、b-hCGの上昇幅を見ることで、胚盤胞の成長速度が理想的であるかを確認します。もし上昇幅が理想的でない場合は、早い段階で薬を調整したりすることで、胚盤胞が引き続き成長していくためのサポートを行います。

反復着床不全の場合は、ハイレベル免疫確認を行い、移植後の免疫反応が過剰となっていないか、もしくはハイレベル免疫薬剤の効果について確認を行います。

採血検査の目的は、胚盤胞の発育状況を推測し、薬の調整をしたり、発育が理想的でない場合は原因の特定することにより、着床期における必要なサポートを行い、着床環境改善や成功率を高めるためにあります。そして着床が確認されたあとは、引き続き採血検査を行うことで、胚盤胞の発育を経過観察していきます。

妊娠5週目以降は、超音波検査による胎嚢の確認ができるようになり、その後も同様に発育状況の経過観察をしていきます。
 

日常生活で気を付けてほしいこと


ただでさえストレスが溜まる移植後、ネットで見たり人から聞いた「移植後に行ってはいけないこと」が気になり、落ち着かなくなります。しかし実際は、喫煙・飲酒以外については、条件によっては問題ないとされています。たとえば、コーヒーは一日一杯(カフェイン量200mg以下)であれば、飲用しても問題ありません。少量のカフェインが胎児へ及ぼす影響はないとされています。また生魚、生卵、十分に火の通っていない牛肉などは、その食材自体が問題というわけではなく、調理の過程などで細菌に汚染され、胃腸炎や細菌感染を起こす可能性があることから、妊娠中においてはリスクであると考えられています。

このように、避けるべき食品や行動自体に害があるわけではありません。食べてもいいか、行ってもいいかというのは、一人ひとりの状況や量などによって異なります。

もし何かの食品や行動について、不安を感じられるようであれば避けましょう。もしくは医師に相談しましょう。

移植後は、胚盤胞の健やかな発育のために、これらの事項に注意しながら、リラックスして過ごしてください。

*実際の治療は医師の診断のもと行っていきます。
本文は編集当時の治療状況、及びご提案です。