移植後は14日目の妊娠判定を待っていればいい?(3)

うまくいかなかったら費用はさかむ。再挑戦はさらに!移植後は「14日間」の妊娠判定をまっていればいい?この間になにかできることはないのでしょうか?

2023-05-19

移植後は14日目の妊娠判定を待っていればいい?(3)


救命医療の完璧な流れでは、急患はまず救急科に運び込まれ、一命を取り留めます。そしてその後は集中治療室(ICU)にて治療を受け、病状が安定したのちに一般病棟に移っていくことでしょう。
なぜ体外受精が行われるようになってから40数年ものあいだ、「着床期救命救急」と「生殖医療ICU」という考えがなかったのでしょうか。
 


どのようなママに「着床期救命理論」が適用されるのでしょうか?IVF3.0+で「浅い着床」になった方にこそ適用されるべきなのです。
 


30歳のこの方は、4年間治療を行いましたが不妊の原因は分かりませんでした。当院で治療を始め、1回の採卵手術から15個の胚盤胞を得ることができました。
 


IVF3.+(PGT-A/PGS+ERA)での移植を行ましたが、妊娠には至りませんでした。

2回の移植では抗血栓注射剤を2日に1回投与しましたが、妊娠に至らなかったため、3回目の移植では免疫科を受診しました。
そして「免疫グロブリン」と「ヒュミラ」を投与し、抗血栓注射剤を朝晩各1本へ調整しましたが、結果は同じく「浅い着床」というものでした。「レベル3」の免疫治療を行うも、なぜ効果が見られないのでしょうか。



3回目の移植時に行った「3回の採血確認」のおかげで、この患者さまには「ヒュミラ」の効果がないこと、そして他の免疫指数には明らかな異常はないことが分かりました。次回は薬剤を変更して、再度の移植に臨みます。





4回目の移植では、PGT-A/PGS検査未実施の「BCグレード胚」2個を移植しました。このBCグレード胚は、「ネットの世界」では劣っていると見下されている胚盤胞です。
血栓の値は常に正常(<0.55)でしたが、5日目の妊娠指数は8.8と「いまにも瀕死」の状態です。

この時、「生殖専門医」はこう言うかもしれません:胚盤胞に原因があります。




β-HCGの上昇速度が緩やかになったため、着床期救命を実施することにしました。
5日目から薬剤を調整し、9日目からはその量も変更するとβ-HCGの速度は上がり安定しました!





「正式妊娠判定」から3週間後には、しっかりした心拍を確認することができました。
救出成功です!



このケースから学んだことは?

1・インターネットの世界には「間違った」情報で溢れています。自身に潜む免疫や血栓の問題に向き合わず、「胚盤胞に原因がある」と「きちんと診断を受ける前に」決めつけたりします。




この方は、47歳で自己卵子による治療を行ったタレント顏嘉樂さんと同じく、男の子・女の子の双子を出産されました。成功となったのは「見下されてばかり」のBCグレードの胚盤胞でした。3回目の移植がうまくいかなかった本当の原因は、血栓と腫瘍壊死因子だったのです。





2.血栓の数値を表すDダイマーが「十分に下がっていない」と、悪さをする場合があります。





3・すべての薬には効果が見られない人も存在するが、試してみなければ分かりません。彼女は「3回の移植」で浅い着床となるも、薬と相性が分かり、「4回目の移植」で使用する薬を変更するに至りました。





反復着床不全特別診察では、皆さまに寄り添い「正しい治療」を探していきます!


*実際の治療は医師の診断のもと行っていきます。
本文は編集当時の治療状況、及びご提案です。