移植後は14日目の妊娠判定を待っていればいい?(2)

うまくいかなかったら費用はさかむ。再挑戦はさらに!移植後は「14日間」の妊娠判定をまっていればいい?この間になにかできることはないのでしょうか?

2023-04-10

移植後は14日目の妊娠判定を待っていればいい?(2)

当院は2022年より「着床期の瀕死の胚」を救い出す取り組みを始めました。現在に至るまでの成功例をご紹介しながら、一緒に浅い着床についてみていきましょう。
 




救命医療の完璧な流れでは、急患はまず救急科に運び込まれ、一命を取り留めます。そしてその後は集中治療室(ICU)にて治療を受け、病状が安定したのちに一般病棟に移っていくことでしょう。
なぜ体外受精が行われるようになってから40数年ものあいだ、「着床期救命救急」と「生殖医療ICU」という考えがなかったのでしょうか。



どのようなママに「着床期救命理論」が適用されるのでしょうか?IVF3.0+で「浅い着床」になった方にこそ適用されるべきなのです。



実際の症例(カルテ番号588*0)をご紹介します。
この患者さまは他院で6回の移植後、48歳の時に当院を受診され、当院では卵子提供治療を受けられました。
1回目の移植でも枯死卵という結果。深夜に大量の出血があり、流産処置や染色体検査を行う間もなく、胎嚢は体外へ排出されてしまいました。



2回目の移植では早めの妊娠判定を行うと、β-HCGの数値は17.19、翌日再検査を行うと18.69という結果でした。「上昇する力が足りない」この状況は、胚盤胞が子宮内で「過ごしづらい」ということを意味し、何らかのサポートを必要としています。



彼女の免疫に関する項目はいずれも正常であり、血栓の値は移植当日は少し高めではありましたが、毎日抗血栓を打つことでDダイマーの数値も基準値である0.55以下にコントロールできていました。では原因はどこにあるのでしょう?子宮内の「血行不良」が着床の妨げとなってしまったのでしょうか。
 


7日目から抗血栓薬の使用量を増やすと、血栓の値は大幅に低下しました。
 


14日目の妊娠指数から振り返ると、7日目に抗血栓薬の調整を速やかに行ったことは正しかったと言えるでしょう。
 


その後、心拍の確認ができてこそ「救い出すことに成功した!」と言えるのです。



この症例から学んだこととは?

1.人間の体質には個人差があり、Dダイマー(血栓)の「参考値」を単純に全ての方に当てはめるべきではない。
 


2.ハイレベル免疫機能検査の各項目が正常であっても、原因不明の流産を繰り返す場合、子宮内の「循環」を改善することで、成功率を上げることができる。
 


3・抗血栓使用時の出血は、必ずしも投与量の超過によるものではない。彼女の「1回目の移植」のように、投与量が少なすぎるゆえに出血を起こすこともある。
 


反復着床不全特別診察では、皆さまに寄り添い「正しい治療」を探していきます!


*実際の治療は医師の診断のもと行っていきます。
本文は編集当時の治療状況、及びご提案です。