40歳で体外受精から卵子提供へ切り替えた日本人女性
仕事と治療の両立もとても大変でした。そして治療を続けても全く結果が出ず、もう子供を授かれないと思い毎晩ひとりで泣いていました。コウノトリの指示通り一歩一歩治療を進め、事前の検査で不妊の原因をしっかり調べてもらえる事も良い結果につながったのだと思います!
2021-06-10
仕事と治療の両立の難しさ
私は32歳で結婚し、そのうち子供も自然に授かると思っていました。しかし35歳を過ぎても妊娠できず仕事と並行しながら不妊外来に通院しはじめ、37歳の時本格的に不妊治療を始めました。それから日本では妊娠につながらないまま3年間で3つの病院を転院しました。3つ目の病院で検査をした結果、AMHの数値が0.02と低く卵子の数が残り少ない事がわかりました。日本の病院では「早めに治療を進めないとこのままでは排卵が止まってしまいます。治療のステップアップを早めに進めましょう。」と告げられ、
焦りの気持ちから家族に八つ当たりしてしまうこともありました。その様に気持ちの整理もつかないまま様々な検査や治療を経て程なくして体外受精を受けることになり、採卵では卵子が2個しか取れず体外受精を受けるごとに毎回採卵しなければならない状況でした。それはとても痛みを伴いました。また、体外受精を受ける2週間前から排卵を促す注射をする為、毎日通院する必要があり仕事と治療の両立もとても大変でした。そして治療を続けても全く結果が出ず、もう子供を授かれないと思い毎晩ひとりで泣いていました。養子縁組も考えましたが、どうしても夫の子を授かりたいという気持ちが強くあきらめる事ができませんでした。
ERA検査を行ってよかった
そんななか、インターネットで台湾での卵子提供のことを知りコウノトリ生殖医療センターのホームページにたどり着きました。その中には妊娠の成功率も高いというデーターも公表されていたのですぐ連絡を取り、事前のメールでの質問にもすぐ日本語で返答がきました。しかし、日本では公に卵子提供についての情報などが少なく不安な気持ちと、もしかしたら妊娠が可能かもしれないという期待が半分半分のままでした。
そのまま日本での書類関係の手続きを済ませ実際に診療所に行ってみると診療所内は明るくとても清潔で気持ちも前向きになり日本での不安な気持ちも払拭され治療に専念することができました。治療を進めるなか私が不安そうな顔をしていると先生をはじめ日本語を話せるスタッフが励ましてくれ笑顔で丁寧に説明してくれたので安心して治療に臨むことができました。検査も痛みが少なくスピーディーに終わり、仕事との両立も無理なく進めることができました。その検査の中で私の場合はERA検査で着床のタイミングがずれている事が移植前にわかりました。そして2回目の移植でついに妊娠が発覚し妊娠検査薬で陽性が現れたときは現実なのかと何度も検査薬を確認してしまいました。その様に事前の検査で不妊の原因をしっかり調べてもらえる事も良い結果につながったのだと思います。
ドナーさんと勇敢な自分に感謝
41歳で無事に男の子を授かることができ、夫の家族をはじめみんなとても喜んでくれました。顔は夫にそっくりです。出産して1ヶ月が経とうとしている今、息子の寝顔をみていると愛おしくて涙が出てきます。もし子供を授かることができなければ、こんな気持ちも味わうことができなかったと思います。ドナーの方やコウノトリの関係者の方々に日々、感謝の気持ちでいっぱいです。
コメント
- 別の角度から考えると、海外で医療を行うことは大変勇気が必要なことです。まず言葉が通じないこと、次に土地勘がないこと。この2つの点だけでも、十分足が前には向きません。それに加えて、決して高くはない医療費が海外からの患者様を不安にさせ、悩ませます。コウノトリ生殖医療センターでは、日本語コンサルタントが患者さまと医師の架け橋となり、初診前より患者様に寄り添い、耳を傾け、患者様の不安を取り除きます。
- この患者さまはとても小柄でしたが、勇気に満ちていたことを覚えています。母親が子どものためにどれだけ犠牲を払うことができるかを私に気づかせてくれました。いただいたメールは、いつもとても丁寧で、感謝に満ちていました。ご夫婦が当院を信頼してくださったことに感謝します。
日本での卵子提供に関する認識も徐々に上がりつつありますが、日本の法律や規制に従い、卵子提供の治療の手助けを行いたくない、卵子提供という治療方法があることを伝えたくないという日本の医師が一部存在することも事実です。この患者さまは卵子提供についての知識があり、自身で治療を行おうと台湾へいらっしゃいました。しかし残念なことに、血液検査、妊娠判定、超音波検査などのフォローを日本の医師には断られてしまいました。当時のことをこう仰っていたのをよく覚えています。「日本の医師に確認したのですが、ひどく怒られてしまいました。もう二度と行きたくありません。なので、移植前と移植2週間後の検査は、台湾で検査をしてもらえないでしょうか?」
通常、海外からの患者さまは、移植前の内膜の厚さの確認と採血検査、移植後の妊娠判定などはお住いの国で検査を実施しますが、この患者さまは毎回飛行機で渡台されました。本当に苦労され大変だったと思いますが、すべての苦労は大変価値があるものとなりました!
- 当院での治療歴
採卵数 | 成熟卵子 | 正常受精 | 良好胚 | 移植 | 結果 |
---|---|---|---|---|---|
20 | 20 | 16 | 12 | 1回目 培養5日目/5AB/PGT-A正常胚 ERA検査結果に基づいた移植 |
陰性 |
2回目 |
出産 |
*実際の治療は医師の診断のもと行っていきます。
本文は編集当時の治療状況、及びご提案です。