あきらめたらそこで試合終了-症状に合わせ処方「着床期救命」の戦略-
「スラムダンク」の安西先生はこう言いました:「あきらめたら、そこで試合終了ですよ」。 生殖医療において移植後14日目までただ待つだけで何もせず、結果を天に任せる消極的な態度で、湘北のような奇跡をどう起こせるというでしょう。
2023-04-20
妊娠率を高めるために、移植前には子宮内の環境が着床に適しているかどうか、卵管の通過性を確認する他、免疫不妊の疑いがある少数の方は、薬により免疫機能をコントロールをしていきます。その他、胚盤胞については染色体が正常で形態の良い良好胚の移植を行えば、移植前のするべき検査は全て実施したと言えるでしょう。ではなぜそれでも妊娠に至らない方たちが存在するのでしょうか?移植後、形勢逆転するためにできることが他にもあるのでしょうか?
その答えが、近年当院で生み出された「着床期救命」による戦略です。
ICU同様の概念で、移植後7日目から密に妊娠指数を確認し、その上昇速度を観察することで、「胚」が子宮の中で「過ごしやすいか」を確認することができます。サポートが必要と判明した際には、それぞれの状況に合わせてバイオ薬剤の使用や変更(症状に合わせる)、あるいはヘパリン注射剤の調整(薬の処方)などを行います。この策略により、これまでいくつものケースで逆転勝利を収めてきました(早く助けて!会いたい(3))。
院内の統計によると、2022年7月から12月までに行われた「着床期救命」のケースは計59週期、救命タイプに区別すると、免疫関連が最も多く64.4%を占め、その次が免疫と血栓の20.3%、最後が血栓で16.3%となります。救命成功の定義は心拍が確認できるまでとし、その成功率は免疫関連で52.6%、免疫と血栓では16.7%、血栓で66.7%となり、全体の救命成功率は47.5%という結果でした(図1参照)。
私たちにとってこの数値は数字上の結果ではなく、その背景にある「生命」に対する尊重を意味します。これらの命を救い出す私たちの決して諦めない想いが、皆さんの心にも届くと嬉しいです!
*実際の治療は医師の診断のもと行っていきます。
本文は編集当時の治療状況、及びご提案です。