不妊治療コラム
妊活情報を伝授して私たちとの距離を縮めよう
04 / 29 / 2021
【医師コラム】自己免疫症例について  31歳女性。免疫性不妊症。体外受精3回失敗し、4回目で妊娠

今回は皆さんに、困難を乗り越えてきた免疫性不妊症の患者様の症例をご紹介します。

李日升医師のコラムです。

 李日升医師
 

免疫性不妊症は、不妊症の女性にとって常に頭痛の種でした。

なぜなら、いつも「原因を見つけることができず」、何が起こったのかわからないからです。

 

“免疫性不妊症は体外受精の分野で多くの議論をされてきましたが、

まだ明確な定義と治療の方向性は定まっていません。”

 今回は皆さんに、困難を乗り越えてきた免疫性不妊症の患者様の症例をご紹介します。

体外受精を2回失敗し,自己免疫が原因と診断された後に初期免疫治療を行っても、やはり失敗し、

高度な免疫治療に進むと順調に妊娠することができました。

 

?途中、我々はどのように診断したのか?

?なぜ初期と高度の治療法を選択したのか?

?また、この症例からの学びとは?

?今後どのようにすればもっと良くなるだろうか?

 

  皆さまにお伝えします。

 

ダイヤオレンジ妊娠歴

 

体外受精を行う女性の不妊治療歴を確認することはとても重要です。

31歳という若さで、これといった治療歴は無いが、特殊な要因によって体外受精を受けることになりました。

一通りの検査を受け、特別な異常が見られなかったため、採卵治療に進みました。

卵段階では、母親のAMHが3.8(正常範囲)であるため、長時間作用型排卵誘発剤の高刺激プランを行いました。

一週目は 長時間作用型、二週目は短時間作用型の排卵誘発剤を使用し、合計21個の卵子を得ることでき、

そのうち14個は成熟卵子(M2卵母細胞)であり、初期OHSS(卵巣過剰刺激症候群)の副作用もありませんでした。

 

受精方法はICSIを選択し、14個の卵子のうち、12個の卵子が受精に成功し(86%、国際的な高水準に沿って)、

良好な胚盤胞が9個できました(胚盤胞までの培養率75%)。

 

このご夫婦の年齢が若いため、PGS検査は行わずに採卵、胚盤胞凍結し、

後期卵巣過剰刺激を避けるために移植の準備をしました。

 

ダイヤオレンジ移植一回目

  胚盤胞グレード4ABを移植、黄体ホルモン使用後120時間、妊娠指数b-hCG 1.06

 

最初の体外受精では、低用量アスピリンと組み合わせて黄体ホルモン(ERA検査なし)を120時間使用した後に

良好な胚盤胞4ABを移植しました。

 

移植後16日目の妊娠検査では、妊娠判定b-hCGはわずか1.06であり、明らかに低かったのです。

 着床したようであったが、その後胚が発育することなく、流産に至りました。

 

この移植結果が悪かった原因は沢山あるはずです。 

妊娠率を上げるために詳細を理解し、話し合いを経て、ERA検査で着床の窓がずれていないかを確認することにしましたサーチ

 

  

ダイヤオレンジERA120時間

   ERA検査結果は120時間と、着床の窓がずれていないことが明らかになりましたビックリマーク

 

このように逆に考え、議論し、最初の移植の時間は正しいと確信しました。

女性の年齢は若く、 初めての体外受精で胚盤胞の質も非常に良い、着床時間も正しい、きっと妊娠できるはずです。 

なぜ妊娠判定bHCGが1.06なのか。 もしかして免疫異常があるのだろうか?

 

そこで「リン脂質抗体症候群に対する免疫」の検査をしたところ、結果は全て正常でした
(Anti-cardiolipin IgG/IgM,Anti-glycoprotein IgG/IgM, Lupus anticoagulant、Protein C/Protein S含む)、TSHを含む他のホルモンとプロラクチンも正常です。

そのため、最初の移植は異常であり、移植後に行った検査はすべて正常でした。

 (実際、最初の体外受精の前に、ATA抗体陽性に対してプラケニルを内服して治療し始めていました。)

 

ダイヤオレンジ移植二回目

  2個の良好な胚盤胞4BB / 4BCを移植、ERA 120時間、免疫値正常、b-HCG 0.68

 

 自己免疫は正常でERA時間も適切、着床しても流産したという一回目の経験から、

原因は胚盤胞自体にあるのではないかと思いました。 

そこで今回は、妊娠を確実にするために、さらにもう1個、合計2個の胚盤胞を移植しました

(31歳では、2個の胚盤胞のうち少なくとも1個は正常であるため)。

 

移植前の検査はすべて正常でしたが、妊娠判定結果はb-HCG 0.68、最初の移植結果よりもさらに低かったのです。

 

胚盤胞を2個移植、処方薬の変更なし、妊娠判定指数は以前よりも低い、この結果にさらに困惑しました。

これは2回目の着床失敗であり、反復着床不全(RIF)の基準を満たし、2回とも着床後に流産しているため、

習慣流産(RPL)の基準も満たしています。

 

この移植後も同じように免疫異常の検査をしましたが、結果は正常でした。

 

この後、6か月間の休息をとって再度移植をすることを勧めました。

さらに、見落としているところはないか、免疫科の医師に診てもらいました。 (2019年半ば)

 

ダイヤオレンジ免疫科のアドバイス

  不妊、妊娠、流産歴に基づいてヘパリン治療を追加

 

免疫科での検査はすべて正常でした。

ただし、「病歴」、すなわち「不妊歴」、「妊娠歴」、「流産歴」、「体外受精移植歴」に基づき、
免疫科では「ヘパリン」治療の追加を勧められました。

  

ダイヤオレンジ移植3回目

   2個の胚盤胞4BB / 4BCを移植、ERA 120時間、毎日ヘパリン注射、b-hCG0.613

 

正常な胚盤胞が少なくとも1個あることを確保するために、3回目も2回目の時と同様に胚盤胞を2個移植し、

移植時間も黄体ホルモン使用後120時間としました。

不妊歴に基づいて、移植後に毎日ヘパリン注射を打つことになりました。しかし、妊娠判定も同じように低く、b-hCG0.613でした。

 

移植後にはまた抗体検査を行い、 その結果、正常だった免疫指数が陽性になっていることが分かりました。 

2回の移植後ともに陰性だった抗カルジオリピンIgMの数値が13.8と陽性になっていました。

 

 この「陰陽」の変化は私たちを驚かせました。 

しかし、胚盤胞が母体の免疫系を繰り返し刺激し、免疫異常を引き起こすことは理解できます。

 

 今回妊娠に至らなかった結果は、私たちに新しい概念をもたせてくれました:

1.不妊歴は検査よりも重要である。 検査結果が正常・異常であれ、異常な不妊歴には潜在的に未知の理由がある可能性がある。

2.ATA免疫異常は、他の検査結果が正常であっても、「恐らく」免疫系統に他の異常がある可能性があることを意味する場合があります。

3. ERA時間にずれがなく、胚盤胞の質が良好にも関わらず着床後流産に至るケースは免疫異常によることが多い

 

この移植後、抗カルジオリピンIgMは陰性から陽性に変化し、移植後の妊娠判定数値は高くありませんでした。

そのため、免疫科の医師と2回目の議論を行いました。

今回の検査結果と不妊歴から、免疫科の医師は免疫グロブリンIVIG療法を追加で行うべきだと提案しました。

 

ダイヤオレンジ移植4回目

  2個の胚盤胞4AB / 4BCを移植、ERA 120時間、ヘパリン注射、IVIG療法、bHCG5497。

 



4回目も同様に、良好な胚盤胞を2個移植しました。

移植時間はERA検査結果と同じ120時間です。そして、ヘパリン注射に加えて免疫グロブリン静注療法を行いました。

 

免疫グロブリン療法の費用は比較的高く、事前に薬剤を準備する必要があるため、今回は移植後7日目に早めに妊娠判定をすることにしました。
移植後7日目のb-HCGは196.6と、着床しているように感じたので、私たちは非常に自信がありました。

予想通り、移植後15日目の妊娠判定指数は5497で、ついに妊娠することができました!

 

妊娠判定指数が高く、胎児への攻撃や発育への影響を予防するため、母体の免疫系統の働きを鎮めるために、「免疫グロブリンIVIG療法」を引き続き行いました。 

この期間中、プラケニル、アスピリン、ヘパリン注射もすべて継続しました。 現在、16週を超え、発育状態は良好です。

 

不妊歴は検査よりも重要です

“不妊歴は検査よりも重要。一つずつこなしていくと、次回はより良くなるだろう。”

 

不妊歴を振り返ると、ERA時間はずれていませんでしたが、妊娠判定指数は高くありませんでした。

着床後に胚が殺されたため、妊娠判定指数が上がらなかったのです。

 したがって、「検査数値の確認」ではなく「不妊歴」に焦点を当て、

2回目の移植時に「ヘパリン」を早めに使用していれば良い結果が得られたかもしれません。

この患者様は最後に行った免疫グロブリンIVIG療法によって赤ちゃんを守ることに成功したので、その可能性はあります。

もちろん、免疫グロブリンを使用する理由は、「3回移植しても妊娠に至らなかった」ことに加えて、「免疫数値の陰性から陽性への変化」という原因があったからです。

 

免疫性不妊症は非常に難しく、母親は多くの挫折や打撃を受けやすいのです。

一歩一歩あゆみ、深くまで分析し、その背後にある原因を見出すことで、

最終的にはこの症例の患者様のように順調に赤ちゃんを授かることができます。

その他の記事
06 / 22 / 2022
精子冒険記Ep.3「満満くん、検査に行く」
05 / 31 / 2022
ERAの10大疑問!
04 / 01 / 2021
妊活検診・ブライダルチェック
03 / 03 / 2021
コウノトリの精子提供ーよくあるご質問
オンライン・マッチング
お問い合わせ
お問い合わせ
友だち追加 → ID検索 → ID:@stork
お問い合わせ
氏名
携帯電話
Emailアドレス
地域
お問い合わせ項目
内容
携帯アドレスは外部受信拒否設定があり、PCアドレスでご連絡ください。
提出
オンラインマッチングをご利用いただき有難うございます
私たちは完備されたマッチングデータベースを所有しています
迅速で確かなサービスをご提供致します。
現在データベースに保存されている統計
卵子
精子