会いたい!生殖免疫科医師 

「免疫科を信じる」から「自分たちを信じる」へ。この数年間、何千人もの免疫・血栓ママたちと奇跡を共に創り上げてきたことに、心から感謝したいと思います。そして免疫科医師の「胚盤胞が悪い」という言葉が、私たちの新たな挑戦への火付け役となりました。

2025-01-24

会いたい!生殖免疫科医師 

見えないものを信じた先 出逢えた幸せ!

年末年始に彼女の物語を書くことに特別な感慨を覚えます。出勤前に何度も鏡を見直すように、一年前の自分を振り返りますか?その姿を見て「まだまだだな」と思うか、それとも「よく頑張った!」と思うでしょうか?

二年前、彼女に贈った卒業の言葉を振り返りました。「目に見えないもの」の方が、目に見えるものよりも大切!32歳(2018年)から36歳(2022年)まで、信じることができなかったものを信じるようになるまでの道のり、実に11回の移植を経て、彼女はついに「免疫ママ」として卒業を迎えました。その勇気は、まさに趙小僑に匹敵するほどです。本当に素晴らしい!

iVie 第54期(院内雑誌)の表紙を飾る彼女は、本当に素敵な方です。
美しく気品があり、優しさと自信に満ちており、粘り強さと逆境を乗り越える力の両方を兼ね備えた彼女には、周囲の人が全力で支えたくなるような特別な魅力があります。2020年に初めて彼女と出会ったとき、彼女はすでに他院で4回の人工授精、4回の採卵、6回の移植を行っていました。多くの不妊治療クリニックを渡り歩く人の多くがそうであるように、AMH(卵巣予備能)はわずか0.865でした。

当院で実施した「1回目の移植」では、最適なタイミング(ERA144時間)で染色体正常な胚を1つ移植 をするも、 「浅い着床」という結果でした。「2回目の移植」では染色体が正常な胚を移植し、加えて免疫科も受診し免疫グロブリン(IVIG)とバイオ医薬品を投与しましたが、同じ結果となりました。
「3回目の移植」では、免疫科医師によるIVIGは効果なしという言葉を受けて投与はせず、PGT-A/PGS検査を行っていない胚盤胞2個を移植しましたが、それでも「浅い着床」となりました。
「4回目の移植」では、免疫抑制の最終手段である「リツキシマブ」を使用したにもかかわらず、結果は同じく浅い着床という結果。4回の移植はすべて、胚が着床してから1週間以内に妊娠不成立という結末で、原因は不明。手当たり次第の治療では解決しないと判断し、5回目の移植は当院の医師のみで新たなプランを考案することにしました。投薬を変えてERA検査をやり直し、PGT-A/PGS検査を行っていない培養5日目の胚盤胞(4AA+5BC)2個を移植、十分な量の免疫グロブリンとCimzia(免疫抑制剤)、そして「通常よりも多めの抗血栓注射剤」という大胆なアプローチを実施することで、ついに彼女は卒業を迎えることができました。


 

当院は「ワンストップ」サービスを提供し、皆さまが「速く・快適で・安全に」卒業できるようサポート


2022年(Covid-19収束)は、当院にとって大きな転機となりました。それまで私たちは、生殖医療の専門家として 「免疫科を信頼し、100%尊重する」 という方針を取っていたため「反復着床不全」や「習慣性流産」のケースは、全て免疫科の医師に引き継ぎ、協力を仰ぎながら治療を行っていたのです。そのため、私たちは生殖医師としての役割に専念し、疑問を持つことはありませんでした。
しかし、免疫治療のフルコースを受けても卒業できなかった方々からの不信感が募ることに…。
最もショックだったのは、治療がうまくいかなかった際、免疫科の医師から「胚が悪かった」と結論づけられたことでした。その中には、「若い患者さまや、卵子提供での治療を繰り返している方」も多く含まれていました。この経験を通じて、私たちは 「本当に免疫だけが問題なのか?」 を自ら探求することを決意。すると、意外な事実が判明しました。
「最大の敵は血栓だった」 のです。
血栓の問題が解決されない限り、どれだけ高価なバイオ薬品(IVIG、ヒュミラ、ベンリスタ、リツキシマブ…)を使用して免疫治療をしても効果は期待できません。

そこで、私たちは 「免疫」と「血栓」の両方を治療するワンストップサービス を提供することに。生殖医療における血栓指標(Dダイマー)、腫瘍壊死因子(TNFa)、NK細胞、B細胞など)など免疫指標の基準値を確立し、また「着床期モニタリングチャート」、「着床期救命IBR」、「胎盤機能モニタリングチャート」などの新たな診断ツールを発案し、それと同時に「専属サポートチーム」「患者さま安全センター」「オールラウンダーチーム」の専属チームを設立しました。
これらにより、国内外の患者さまが 「早く・快適で・安全に」卒業できるようサポートをしています。この2年間で、数えきれないほどの 「反復着床不全」「習慣性流産」 の患者さまを救い出し、卒業へ一緒に歩んできました。
今回の表紙を飾る彼女もその一人です。
その他の卒業生や、院外からの救命依頼の例については、当院の公式サイト「卒業生」と「院外からの救命依頼」をぜひご覧ください。




 

2025年は激動の一年:「Stork Can Help!」


患者さまこそが先生!2022年の自分を振り返ると、一言で表すなら「未熟」、「免疫科を信じる」から「自分たちを信じる」へ。この数年間、何千人もの免疫・血栓ママたちと奇跡を共に創り上げてきたことに、心から感謝したいと思います。そして免疫科医師の「胚盤胞が悪い」という言葉が、私たちの新たな挑戦への火付け役となりました。この言葉に刺激を受け、私たちは 「着床期救命IBR」 を考案することとなり、今では、数百人もの国内外の「反復着床不全」の患者さまが、移植後2〜3日に飛行機で駆けつけ「緊急処置」を受けることで、無事に卒業することができるようになりました。毎年100人以上の小さな命が、この取り組みによって救われているのです。この成果をもって、私たちは 2014年に掲げた目標を実現することができました。
それは「飛行機に乗ってでも訪れる価値のある、生殖医療界のミシュラン三つ星」 というものです。2025年は、まさに激動の年となるでしょう。「Stork Can Help!」当院は、世界中の生殖医療センターに協力し、より多くの小さな命を救う力を持っています。子どもを望むすべての家庭が、あたたかな幸せを得られるよう、私たちはこれからも挑戦を続けていきます。

注意:「生殖免疫科医師」について
「生殖免疫科医師」とは、生殖医療と免疫学の両分野に精通したハイブリッドな医師を指します。
 

コメント:

1.当院での5回の移植結果

移植 胚盤胞 バイオ薬品 結果
1回目 染色体正常 なし 浅い着床
2回目 染色体正常 IVIG+ヒュミラ+アリクストラ 浅い着床
3回目 未生検/5日目/5BB+5BC クレキサン 浅い着床
4回目 未生検/5日目/5BB+4AB リツキシマブ+ヒュミラ 浅い着床
5回目 未生検/5日目/4AA+5BC IVIG+シムジア+クレキサン 女児


2.「反復着床不全」「習慣性流産」に悩む方への治療には、免疫科に頼るのではなく、当院の医師チーム自らが免疫・血栓対策を取り入れた“ワンストップ”サービスを提供しています。私たちは、免疫科が言及しづらいそれぞれの参考値を、的確に定義しています。

参考値 血栓指数(Dd) 腫瘍壊死因子(TNFa) ナチュラルキラー細胞(NK) B細胞
移植前 X <4pg/ML X X
移植後 0.05~0.1mg/L 8Pg/ML 300ul 500ul


3.「参考値」を「3つのツール」でその変動を確認し、赤ちゃんを攻撃から守ります。

3つのツール 着床期モニタリング 胎盤機能の観察 着床期救命IBR
基準値と投薬 bHCG E2/P4/Dダイマー バイオ薬品と抗血栓注射剤


4.「患者さまの安全」のため、「3つの特別なチーム」を設立し当院を卒業なさるまでサポートします。

3つのチーム 専属サポートチーム 患者さま安全センター オールラウンダーチーム
特徴と任務 専門的な立場からサポート に寄り添う 品質のあるサポート

*実際の治療は医師の診断のもと行っていきます。
本文は編集当時の治療状況、及びご提案です。