睡眠不足は採卵結果に影響する?
どんな要素が採卵数に影響するのでしょうか。どう卵子を養えば良い?睡眠は採卵結果に影響する重要な生活習慣の一つです…
2022-11-08
「採卵」は体外受精や卵子凍結を行う上で、最初の重要な治療過程といえるでしょう。命はここから始まるのです。
いくつの卵子が得られるかは、その後の治療の成功に多かれ少なかれ影響します。採卵数に影響するのは、皆さんもよくご存知のAMH(抗ミュラー管ホルモン)、AFC(胞状卵胞数)や排卵誘発剤の使用等の他、もう一つ大きなカギを握るポイントがあります。それが睡眠習慣です。
睡眠は、喫煙や檳榔(台湾の嗜好品)以上に、採卵結果に大きく影響する生活習慣の一つです。本編では「睡眠習慣と採卵結果」の研究についてご紹介します。
研究内容:
この研究では体外受精治療中の女性、1276名の睡眠習慣について分析を行いました。平均年齢は30歳、大多数がBMI正常で、AMHは平均3.8、平均採卵数は12個、成熟卵子数は10個でした。
また睡眠の質を次のように分類しています:睡眠時間の長さ、睡眠中央時刻(眠りに落ちた時間と朝起きた時間のちょうど中間の時間のこと)、自己評価による睡眠の質、1週間のうち眠りにつきにくい回数。
研究結果から、1日の睡眠時間が7時間以下の場合、採卵数は10%低下し、成熟卵子数も10%低下することが分かりました。ただし成熟卵子の比率に影響はありません。
意外な結果:睡眠時刻は採卵結果に影響はしない。睡眠中央時刻を分析すると、それが深夜2時前、2時~3時の間、または3時以降のいずれでも採卵結果に影響はしないことが分かったのです。
上記からいえること:夜更かしは採卵結果に影響しない(本当に?)
結論
私自身も診察を行っていると、睡眠時間が短い・睡眠の質が良くない場合は、採卵結果も理想的ではないと感じています。
睡眠時間が長ければ、それが夜更かし後の睡眠だとしても、卵子の質はそれほど悪くはありません。睡眠時間が十分で、早寝早起きだと一番の結果となります。
早寝か夜更かしの2択ならば早起きを選び、少なくとも7時間の睡眠をとることは、どんなサプリを補充するよりも効果が得られるでしょう。
参考資料
注 1. Associations of sleep characteristics with outcomes of IVF/ICSI treatment: a prospective cohort study.
Human Reproduction, Volume 37, Issue 6, June 2022, Pages 1297–1310
https://doi.org/10.1093/humrep/deac040
*実際の治療は医師の診断のもと行っていきます。
本文は編集当時の治療状況、及びご提案です。