背後に隠れた原因-自己免疫

体外受精治療では、正確なタイミングで染色体正常胚を1度、2度、3度移植しても妊娠に至らない方が少なからずいらっしゃいます。背後にはどのような原因が隠されているのでしょうか?

2023-01-12

背後に隠れた原因-自己免疫

移植を行った胚盤胞は、母体からすると外部からの侵入者です。免疫機能がそのように識別すると自身の免疫が反応し、排除をしようと胚盤胞を攻撃、着床の妨げや流産を引き起こします。これが「免疫不妊」です。「免疫不妊」は習慣性流産を引き起こす、目には見えない原因の一つです。

当院では着床不全や習慣性流産(妊娠を試みて2年、流産または2度の移植の失敗)の患者さまを対象に「3回の採血確認」を実施し、背後に隠れた原因を探し出します。
データから見えること:
反復着床不全や習慣性流産に悩む一部の患者さまでは、移植後に免疫数値が急上昇し、その後の妊娠率も低いことが分かりました。

これらの「免疫ママ」は、毎回同様の方法で移植を行っても博打を打つようなものです。得られた非常に貴重な胚盤胞を無駄にするだけで、結果を得ることはできない恐れがあります。

反復着床不全や習慣性流産、または卵子の在庫量(AMH)が低く、どうしても失敗は避けたいというご夫妻は、「3回の採血確認」による免疫指数の観察を行うべきと考えています。そうすることで即時に免疫をコントロールができ、妊娠率を高め流産率を下げることができます。

「免疫不妊」を事前に診断することは非常に困難で、「2番手・3番手」の胚を移植することでしか、原因を突き止めることはできません。しかし原因が分かれば、その後の治療プランを立てることができます。免疫不妊は体外受精治療において、まだ未知の領域ですが、観察で得た指数や、症例によるデータの積み重ねにより、徐々に背後に隠れた原因をひも解くことができました。当院は免疫ママに常に付き添い、最後の1マイルまで伴走します。

*実際の治療は医師の診断のもと行っていきます。
本文は編集当時の治療状況、及びご提案です。