47歳で自己卵子による龍鳳胎(男女の双子)は どのように授かったのでしょうか?

43歳以上の不妊治療にはどのくらいの時間と費用が必要?という疑問は、どう尋ねれば答えが得られるでしょうか。私の回答は「まず問題を正しく質問すれば良い」というものです。その理由は、正しい質問をして初めて正しい道が見つかり、正しい道で努力することにより実現すると考えているからです。しかし多数の方から最も質問を受けるのは、「一回治療を受けるのにどこが最も安いのか?」というものです。

2018-12-12

47歳で自己卵子による龍鳳胎(男女の双子)は どのように授かったのでしょうか?

47歳という年齢で子供を望む勇気はありますか?思いがけず龍鳳胎(男女の双子)が生まれたなら、おそらく卵子提供を受けたと周りからは「疑われる」でしょう。
年を重ねてから「少しでも早く子供を」と望む女性が増えていますが、その方法についてはどう選択したらいいのでしょうか。一番のポイントは…この年齢でどれほどの努力と費用が必要になるか、を知ることです。

実のところ、私は43歳以上の方が自己卵子で体外受精治療を行うことに賛成ではありません。その理由は成功率が低く、治療には時間も費用もかかるためです。そのため43歳以上の方の治療には、卵子提供が第一の選択肢となりますが、問題は「卵子提供を受け入れられるか?」という点です。答えが「いいえ」ならば、Plan Bはどのようなものになるでしょうか?このような難問に直面した患者さまに、私はよく「あなたに覚悟と気力はありますか?」と尋ねます。もし答えが「はい」であれば、私は卵子提供を受けるまでの最後の道のりを、全力でサポートします。

年齢の若い患者さまには、子供を授かるには何個の卵子が必要かを試算しますが、40歳以上の場合は「胚盤胞」に置き換えて、何個必要になるかを計算します。或いは染色体正常胚が1~2個必要となるので、それを得るには何個の卵子が必要になるかを逆算し伝えます。そしてそれと同時に、患者さまに「あきらめるタイミング」も伝えるのです。これがPP-IVF(個人に合わせた治療方法)です。

人生にはどうにもならないことが数多くあります。美しい彼女が40歳を過ぎてようやくMr.Rightに出会うことを、誰が予想できたでしょう。この時、若いうちにしておくべきだったことにようやく気付くのです。それが「卵子凍結」です。

これくらいの年齢、且つ自己卵子での妊娠を望むのであれば、当院の治療プランIVF 3.0+(PGT-A/PGS+ERA)を行います。彼女は1年半をかけて計23回の採卵手術を行い、集めた44個の卵子から、11個の胚盤胞を得ることができました。うち6個の外観が良いもの(BBグレード以上)に対しPGS検査(着床前遺伝子スクリーニング)を行いましたが、残念ながら5個は染色体異常、1個はシグナルなしという結果でした。PGSを行い移植可能な正常胚を得られない場合は、どうしたらよいのでしょうか?

Yさんは残ったBCグレードの胚盤胞(PGS未検査)5個と、シグナルなしと結果がでた胚、計6個を2回に分けて移植することにしました。

なぜ1年半で23回も採卵できるのかという疑問をもった方もいらっしゃるのではないでしょうか?真剣に治療へ取り組む彼女は、1ヶ月内に2回の採卵手術を受けることもありました。これが当院で行っている「二段階採卵」卵子の少ない人(AMH0.8以下の方)が子供を授かるまでにかかる時間を短縮するために生み出した採卵方法です。

やっとの思いで胚盤胞を得たのですから、ERA(子宮内膜着床能検査)を行わない理由はないのではないでしょうか?彼女もERA検査を受けると、着床の窓がERA132時間と一般の女性と異なることが分かり、検査結果に基づいた1回目の移植で妊娠したものの、残念なことに胚は成長を続けることはできませんでした。原因は胚の染色体異常だったと考えられます。2回目の移植で残り3個の胚盤胞を移植すると、妊娠検査のβ-HCGの数値は2635という高数値に達しました。数値は理想的でしたが、胎児の染色体が正常かどうかが分からない時点では、手放しで喜ぶことはできません。

 羊水検査の結果、龍鳳胎(男女の双子)であることを知り、彼女はおそらく「台湾で初の47歳で自分の卵子による龍鳳胎(男女の双子)を授かった」のだと私は喜びました。その上、当院の記録(2011年に47歳で自己卵子による体外受精で妊娠した患者さま(新北市淡水区出身))を更新したのです。培養士の方々の使命感、神様、そして勇敢にも最後まであきらめずに治療した彼女とそれを支えた方々に対し、感謝の気持ちでいっぱいです。

 


幸せに満ち溢れた妊娠の背景には、つらい治療の数々があります。彼女の治療の経緯を振り返ると、数多くの「もしも」がありました。もしも10年前に彼女が「卵子凍結」を迷わず行っていたら、もしも「ご主人」に出会っていなかったら、もしもPGS未実施の胚盤胞すべてが染色体異常だったら、着床率が下がってしまうにも関わらず、もしもBCグレードの胚盤胞に対してPGSを行っていたら(流産となったことでしょう)、もしもERAを行わず間違ったタイミグで移植し、23回の採卵が全て無駄になってしまっていたら…それぞれの「もしも」の背景にある「見えない」思いはどうなっていたでしょうか?

 43歳以上の不妊治療にはどのくらいの時間と費用が必要?という疑問は、どう尋ねれば答えが得られるでしょうか。私の回答は「まず問題を正しく質問すれば良い」というものです。その理由は、正しい質問をして初めて正しい道が見つかり、正しい道で努力することにより実現すると考えているからです。しかし多数の方から最も質問を受けるのは、「一回治療を受けるのにどこが最も安いのか?」というものです。

数多くの「見えざる」内容が隠れているため、非常に専門的なものについて、表面的な比較をすることはできません。治療を受けられる方からよく聞かれるのは「子供を授かるにはどこが一番安いのですか?」という質問です。この質問には2つの面があり、1つは「回数で費用を計算する」、ただ治療を受けたいだけで何が何でも、という覚悟があるわけではない場合。もう一つは「baby」を分母、費用を分子とし、病院・患者双方の目標も一致し、皆に是が非でもという覚悟がある場合です。当院の患者さんの多くは後者にあたります。

嬉しさの余り、神様に一番言いたいのはこの言葉です。ほんとうにどうもありがとうございました!(2018年12月10日)


コメント:

1.47歳Yさんの23回に及ぶ採卵状況:                        

採卵 排卵誘発 卵子の数 胚盤胞の数 PGT-A/PGS 当時の年齢
1回目 高刺激 5 1 異常 45歳
2回目 中刺激 2 1 5BC 45歳
3回目 低刺激 1 0 - 45歳
4回目 高刺激 5 3 2個異常
1個5BC
45歳
5回目 中刺激 2 2 1個シグナル無し
1個5BC
45歳
6回目 高刺激 3 0 - 45歳
7回目 高刺激 4 1 5BC 45歳
8回目 高刺激 3 1 異常 45歳
9回目 中刺激 2 1 4BC 46歳
10回目 二段階採卵 2 0 - 46歳
11回目 中刺激 1 0 - 46歳
12回目 低刺激 1 0 - 46歳
13回目 中刺激 1 0 - 46歳
14回目 中刺激 1 0 - 46歳
15回目 二段階採卵 1 1 異常 46歳
16回目 自然周期 1 0 - 46歳
17回目 低刺激 1 0 - 46歳
18回目 自然周期 1 0 - 46歳
19回目 二段階採卵 1 0 - 46歳
移植1回目 3個の胚盤胞 シグナル無し1個、検査未実施の胚2個 流産
20回目 低刺激 1 0 - 47歳
21回目 二段階採卵 3 0 - 47歳
22回目 自然周期 1 0 - 47歳
23回目 中刺激 1 0 - 47歳
移植2回目 3個の胚盤胞 未生検胚3個 男女の双子
メモ
  • 低刺激:排卵注射剤は打たず、内服薬のみ。自然周期:一切の投薬なし
  • 当院平均では3個の卵子から1つの胚盤胞が得られる。彼女は46歳の年齢のため、44個の卵子から11個の胚盤胞を得た


2. 47歳Yさんの自己卵子による2回の移植状況: 
 

移植 1回目(17年11月27日) 2回目(18年4月10日) 残りの胚盤胞数
胚盤胞 3個 3個 0個
染色体
PGT-A/PGS
シグナル無し1個+未実施2個 未実施3個 -
黄体補充時間
ERA
132時間 132時間 -
妊娠指数
(b-HCG)
162 2635 -
結果 流産 男女の双子 -
メモ
  • PGT-A/PGS検査に対する当院の条件:胚盤胞グレードを示す2つ目のアルファベットがAもしくはB、この患者さまの胚盤胞11個のうち6個が相当するも、正常胚は得られなかった
  • 胚盤胞グレードを示す2つ目のアルファベットがCの場合、検査実施後は流産率が上昇するため、検査は推奨していない
  • 流産となった1回目の移植の原因は、胚の染色体異常による自然淘汰と考えられる

3.47歳のYさんのERA検査結果によるとプロゲステロンの浸透時間は132時間であり、一般的な120時間と異なります。


4.治療費はとても重要です。ここで子供を授かるための3つの方法のうち、どれがお得なのかを下表の「予測費用モデル」で比較してみました。15回目の採卵手術までしか計算に入れていない理由は、16回目以降の手術では移植・凍結が行えなかったためです。なお彼女は35歳で一度採卵を行い、15個の成熟卵子を凍結していると仮定しています。(費用は全て台湾ドル表示)

 

排卵誘発 自然周期 低刺激 二段階採卵 中刺激 高刺激
台湾ドル 1,500 2,000 12,500 25,000 50,000

       

採卵・培養 融解・移植 PGT-A/PGS 1個 ERA 卵子提供(卵子バンク) 卵子凍結 保存費
100,000 50,000 24,500 49,000 480,000 70,000 8,000/年

3つの治療法の比較

治療法/費用 IVF 3.0+(2016年) 卵子提供/卵子バンク 卵子凍結
低刺激 2,000×2 - -
二段階採卵 12,500×2 - -
中刺激 25,000×6 - -
強刺激 50,000×5 - 50,000
卵子凍結 - - 70,000
採卵・培養 100,000×15回 - 100,000
卵子提供
卵子融解・培養
- 480,000 -
凍結融解胚移植 50,000×2回 50,000×1回 50,000×1回
PGT-A/PGS 24,500×6個 0 0
ERA 49,000 - 49,000
保存費 - - 80,000
総額 2,225,000 530,000 399,000
結果 男女の双子 - -
生殖医療センター 極僅か コウノトリ(アジア唯一) 極僅か
メモ
  • 15回までの採卵手術で試算(16~23回の手術では移植・凍結可能な卵子を得られなかったため)
  • Yさんの着床の窓口は一般的な時間とは異なる132時間だった。当院のIVF 3.0+(体外受精+PGT-A/PGS+ERA)を行わなかった場合、費やした費用は全て水の泡となり、更には卵子バンク治療費53万台湾ドルが発生する可能性がある
  • Yさんは卵子提供ではなく自己卵子での治療を強く希望したため、当初は1個の染色体正常胚が得られたら移植を行うプランを立てた。しかし正常胚を得ることができず想定外の「延長戦」となり、10~23回目の採卵手術で得られた胚盤胞は異常胚1個という結果になった。その主な原因は46歳という年齢にある。
  • どう試算しても最も負担が少ないのは「卵子凍結」で、その次は卵子提供となる。

*実際の治療は医師の診断のもと行っていきます。
本文は編集当時の治療状況、及びご提案です。