子宮外妊娠はどのように起こるの?

子宮外妊娠は主に感染や手術、先天性異常や、腫瘍により卵管がダメージを受けることによって起こります。

2021-04-16

子宮外妊娠はどのように起こるの?

発生率とリスク


正常ならば、精子と卵子は卵管で出会い受精し、子宮腔で着床・発育します。受精卵が子宮以外の場所で着床することを子宮外妊娠といいます。子宮外妊娠が最も多く発生する箇所は卵管で、約60%を占め、卵巣や腹腔など別の場所での子宮外妊娠は比較的少ないです。

子宮外妊娠は主に感染や手術、先天性異常や、腫瘍により卵管がダメージを受けることによって起こります。

 

卵管の形状に歪みや変形があると、内部の絨毛がダメージを受けることより、卵管機能そのものに異常をきたす可能性があります。卵管妊娠になったことがある、もしくは以前卵管の手術を受けたことがある人は高リスク グループとされます。
卵管妊娠の高リスク、中リスクグループの対象は以下の通りです。

子宮外妊娠の実際の発生率を示すのは非常に難しいのですが、妊娠中、出血や腹痛があり救急にかかった際、最終的に子宮外妊娠と診断されるのはおよそ6~16%です。子宮外妊娠は子宮内と子宮外で同時に妊娠する特殊な状況もあり、これをHeterotopic pregnancyと言います。自然妊娠での発生率は4,000~30,000分の1で、不妊治療を受けた妊娠での発生率は100分の1に達します。
 

症状

子宮外妊娠の症状が最も現れるのは、生理周期6~8週目以降(つまり妊娠6~8週)です。一般的に妊娠初期で最も見られる症状は出血と腹痛ですが、子宮外妊娠は全く症状がない可能性もあります。初期症状は妊娠初期の典型的な症状と同じで、生理が来ない、胸の張りや吐き気などで、その他の症状は異常出血、背中下部・下腹部の痛みや、下腹部どちらか一方の軽/重度の痛みなどがあります。卵管妊娠が進むにつれ重症化し、卵管破裂による出血後、激しい腹痛や肩の痛み、全身の脱力感、めまい、失神などの恐れがあります。卵管破裂による出血は命に危険が及ぶ可能性もあることから、妊娠初期でもし激しい腹痛や、肩の痛み全身の脱力感などの症状がある場合は、直ちに病院にかかるべきです。
 

診断
 

臨床上、妊娠判断、経腟超音波、血中のb-HCGや各症状などから子宮外妊娠を診断します。妊娠初期に出血や腹痛の症状がある妊婦は子宮外妊娠の可能性を確認するべきです。特に下記の症状が見られる場合、子宮外妊娠の可能性が高いと考えられます。
1. 妊娠しているが、超音波で子宮内に胎嚢を確認できない
もしb-HCGの濃度が1,500mlU/dl以上で上昇し続けているにもかかわらず、経腟超音波で子宮内に胎嚢が確認できい場合は子宮外妊娠の可能性が非常に高いです。

2. 超音波で腹腔内に塊と液体が確認でき、且つ子宮内に妊娠している様子がない場合。
3. 超音波により子宮以外の場所で、胎嚢や心拍などが確認出来た場合。
4. 血中のb-HCG数値上昇が異常な人(2日内に35%以上上昇しない)
5. 急激な激しい腹痛、命に危険が及ぶ症状が現れた場合(失神、意識をなくすなど)

 

治療方式


治療法には主に手術、薬物治療(MTX methotrexate)、観察の3種類があります。
早期に診断ができた場合は薬物治療(MTX)が受けられますが、その他ほとんどの場合は手術での治療が必要になります(卵管破裂の恐れ、卵管妊娠が進んでいるなどMTX治療を受けられない人)。極少数ですが、卵管破裂の可能性が非常に低い(b-HCG<200mlU/dll)人はまず様子を見ることもあります。

 

治療後の経過


子宮外妊娠をしたことがある場合、再び子宮外妊娠になる確率は通常の3~8倍になります。外科治療(卵管開口術:salpingostomyで卵管を温存しつつ子宮外妊娠を取り除く)を受けた後などが再発しやすいので、治療後の妊娠では症状の有無に関わらず、早めに超音波検査を受け子宮内で妊娠しているかどうかを確認する必要があります。

 

 

*実際の治療は医師の診断のもと行っていきます。
本文は編集当時の治療状況、及びご提案です。