海を越えた思い 卵子提供+PGT-A (PGS) 検査 一回で妊娠

日本で何度も治療を繰り返した私には、医師に原因を聞いても「卵子の老化」以外に明確な答えはありませんでした。しかし、逆に考えれば「卵子さえ若ければ」妊娠できるんだ。こうして卵子提供へ想いが向いていったのです。

2021-11-11

海を越えた思い 卵子提供+PGT-A (PGS) 検査 一回で妊娠

先の見えない不妊治療は、本当に辛いものです。もし、これを読んでいる貴方が、台湾での卵子提供に一縷の望みを抱いてここに辿り着き、でも沢山の不安でその一歩を踏み出せずにいるとしたら。少しでもその背中を押したい、と思い筆を取りました。私はコウノトリ生殖医療センターで卵子提供を受け、現在、一子の母親として目まぐるしくも幸せな日々を送っています。

日本での不妊治療が2年を超えた頃、私は疲れ切っていました。採卵しても卵の数が採れない。胚盤胞まで育つのは1個か2個。毎回綱渡りのような体外受精を繰り返し、結果は出ないのにどんどん減っていく預金残高。医師に原因を聞いても「卵子の老化」以外に明確な答えはありませんでした。医師が診て老化が唯一の原因だとしたら、こんな不確実な治療に、いつまでも大金を費やしてはいられない。しかし、逆に考えれば「卵子さえ若ければ」妊娠出来るのだ。他に問題がないなら、むしろ幸運なのでは?それが卵子提供を考えたきっかけです。ネットの口コミサイトなどで様々な情報を集め、コウノトリに辿り着きました。
 

通院2回で移植完了

初回診察から移植に至るまで新竹院でお世話になりましたが、素晴らしく清潔で立派な施設です。技術者である夫は、無菌室を見て「良い機械を使ってる。安心できる。」と話していました。また、日本人スタッフや日本語を話せるスタッフがいて、サポートもきめ細やかでした。ドナー決定、卵子の融解、生存個数、受精結果など経過を逐一メールで報告してくれます。もちろん、着床後のサポートも。
幸いにして、私は一度目一個の移植で着床し、妊娠経過も順調で、初診のほぼ一年後に出産しました。卵子提供だから特別にリスクが高くなる、という事はありません。普通妊娠と全く同じです。若くて元気な卵子を提供してくださったドナー様には、感謝してもしきれません。
生まれた時は夫によく似た赤ちゃんでしたが、最近、私に似てきたね、と言われる事がよくあります。ドナー選びの際、容姿を含め様々な面を考慮して下さったのがよく分かります。
私は出産時に40歳という年齢でしたが、極めて順調に子どもを授かる事が出来ました。生まれた我が子はとても可愛いし、発育も順調です。若いドナーさんの健康な卵子でしたし、移植前に着床前スクリーニング(PGT-A/PGS)もしたので、かえって出産後の発育に不安がありませんでした。これも卵子提供のメリットの一つだと思います。
改めて、尽力してくださった先生やスタッフの皆さん、そしてドナー様に感謝します。ありがとうございました
 

コメント

  1. 文章からは、なかなかうまく行かない採卵を何度も受けることに対しての挫折感、無力感が伝わってきます。卵子提供を受けることに一縷の望みをかけ、勇気を出し治療を受けに台湾へいらっしゃいました。そして私たちの願い通り、初めての移植で赤ちゃんを授かることができました。患者さんからの知らせを聞き、とてもうれしく感じます。この体験談が今も治療に臨んでいるご夫婦たちの、背中を押すきっかけになれたら嬉しいです。
     
  2. 台湾にいらっしゃって初めての診察では、子宮鏡検査、卵管造影検査、免疫血液検査、ご主人の精液検査を含めた基本検査を受けていただきました。結果はすべて問題なく、日本の医師の診断通り、失敗の可能性は卵子の質にあると考えられました。当院の卵子ドナーの多くは20代で染色体正常率は60%、平均すると3個のうち2個が良好胚になる計算になります。この患者さんはマッチングの結果20個の成熟卵子を受け、受精・培養もうまくいき、計10個が胚盤胞になりました。その内の3個をPGT-A/PGS検査に送検したところ、結果はすべて正常。染色体が正常な胚盤胞を一つ移植した場合の妊娠率は60%から70%に達するので、これが一回での成功のポイントとなったのです。
     
  3. 患者様の治療歴
凍結成熟卵
(MII)
卵子融解後の生存個数 正常受精
(2PN)
良好胚 移植した胚盤胞
20 19 14 10 5日目/5BB/PGS正常

*実際の治療は医師の診断のもと行っていきます。
本文は編集当時の治療状況、及びご提案です。