高プロラクチン血症 

女性は排卵機能が影響を受け、卵胞を発達および成熟させることができないために不妊症になったり、男性は性欲低下や性機能障害など、高プロラクチンは男性・女性ともに性腺機能低下症(HYPOGONADISM)を引き起こすことがあります。

2020-12-29

著者 コウノトリ生殖医療センター

高プロラクチン血症 

プロラクチンの働き

 
乳汁分泌ホルモン(プロラクチン:PRL)は脳下垂体から分泌されるホルモンで、正常な成人女性の平均血清濃度は約8ng / mlです。その主な機能は乳房の乳腺の成長を刺激し母乳を作ることで、妊娠中授乳の準備に必要なホルモンとなります。このホルモンと卵巣ホルモンは拮抗的な関係にあり、女性の血清中のこのホルモンが一定の濃度まで上昇すると、卵巣の排卵機能を阻害し、無排卵と不妊を引き起こします。
 
プロラクチンが高いと、どのような症状が現れますか?

  1. 月経異常:生理の経血量がとても少ないまたは来ない場合
  2. 乳漏症:乳房を強く押すと、母乳が出る可能性があります。
  3. 不妊:排卵機能に影響があるため、妊娠しにくくなります。
  4. 高プロラクチンは黄体機能の低下、多毛症、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS: polycystic ovary syndrome)、および子宮内膜症などを引き起こします。

 高プロラクチンと不妊の関連は?

女性は排卵機能が影響を受け、卵胞を発達および成熟させることができないために不妊症になったり、男性は性欲低下や性機能障害など、高プロラクチンは男性・女性ともに性腺機能低下症(HYPOGONADISM)を引き起こすことがあります。

どのようなことが原因で高プロラクチンに?

高プロラクチンに至る原因は多岐にわたり、一般的に生理学的と病理学的の2つのタイプに分けられます。生理学的とは、普段は特に問題はなく、特定の特別な状況下にのみ上昇することを意味します。この場合は自己調整が可能であり、積極的な治療は必要ありません。病理学的については以下のように、特定の疾患が存在し、積極的な治療が必要であることを意味します。
 

  1. 生理学的:妊娠、ストレス、乳房・入党の刺激、運動、睡眠、食事、性行為....など
  2. 病理学的:脳下垂体の異常(腫瘍)、甲状腺機能の低下、慢性肝腎疾患、薬...など

 

高プロラクチンであるかどうかを知るには?


プロラクチン(PRL)はいつでも検査が可能です。
生理2日目-4日目にAMHと同時に採血検査することをおすすめします。基準値は36ng/ml以下です。
 

高プロラクチンをはどう治療する?


高プロラクチンは慢性疾患の一つで、妊娠するまでの間、薬を服用する必要があります。
プロラクチンの数値が100ng/ml 以上を越える場合は、脳下垂体腫瘍の可能性を除外するために検査(CT(コンピュータ断層撮影)またはMRI(磁気共鳴画像撮影法))を行う事をお勧めします。プロラクチンが36~100ng / mlの場合、Dostinexを服用することで対応が可能となります。
 

●Dostinexの副作用は?どのように防ぐ?
 

  1. よく見られる副作用は胃の不調(吐き気、便秘)及び低血圧(めまい)です。
  2. プロラクチンの採血数値が36~100ng / mlの場合、1週間に1回1錠の服用、プロラクチンの採血数値が100ng/ml以上を超える場合は1週間に2回1錠の服用となります。服用のタイミングは就寝前、軽食(クッキー類)などと一緒がお勧めです。
  3. 副作用は服用から2週間ほどで改善されます。不調が継続する場合は、医師と容量を減らせるかどうか確認いたしますのでご連絡下さい。

 

 

*実際の治療は医師の診断のもと行っていきます。
本文は編集当時の治療状況、及びご提案です。