見出した希望、卵子提供を受け新しい人生を
どうしても諦めきれなくてインターネットで調べ、卵子提供という方法を知りました。 同時にそれが日本では受けられないということもわかり、すぐに海外で受けることを考えました…
2019-05-24
私は20代~30代の頃は生活を安定させるために働くことを優先し、子供を作りませんでした。40代になってそろそろ子供を作らないといけないと考えましたが、そんなに急激に体が衰えていくとは考えていませんでした。
そして42歳の時、初めて婦人科で検査をしてもらったところ、生理があるにも関わらず既に閉経状態にあると言われてしまいました。すぐに別の病院でも調べてもらいました。
しかしながら診断は同じで、治療する方法がないと言われてしまいました。目の前が真っ暗になりました。
悔しくて悲しくて毎晩泣いていました。子供を連れて歩いている人を見ると、どんどん子供が欲しい気持ちが強くなりました。そしてどうしても諦めきれなくてインターネットで調べ、卵子提供という方法を知りました。
同時にそれが日本では受けられないということもわかり、すぐに海外で受けることを考えました。その時に偶然テレビで福岡のセントマザー医院を介して台湾で卵子提供を受け、無事に子供を授かった人がいるのを見て、セントマザーの田中院長にご相談し、台湾のこうのとり診療所を紹介していただきました。アメリカやタイでも卵子提供を受けられるそうですが、台湾では国が認めている治療行為であるため安全だということもわかりました。
そしていよいよ夫婦で初めて台湾へ行く日がきました。それまでは日本語が話せるスタッフの方とメールやLINEでやり取りをし、少しでも疑問や不安に思うことは全て解消してもらっていましたが、実際にこうのとり診療所に着くまでは、本当にちゃんとした病院なのか半信半疑でした。なぜなら日本では「診療所」と言うと小さな病院を連想するからです。しかし着いてみるととても立派な病院で(美術館のような素敵な造りです)、セキュリティは万全、たくさんいるスタッフの方々も皆とても親切でした。中でも日本語が話せるスタッフの方は本当に親身になってお世話をしてくれました。そして先生から卵子提供について懇切丁寧な説明を受けました。先生はにこにこと優しく微笑みながら大丈夫と言ってくださり、私達夫婦の不安な気持ちは一気に吹き飛びました。
帰国してからは、思っていたよりもずっと早くドナーさんがみつかり、再び台湾へ行きました。夫が仕事で行くことができなかったので、両親と行きました。久しぶりに親子水入らずで観光もできました。台湾の方々は皆親切なうえ、日本語を話せる方も多いので、どこに言っても困ることはなく、リラックスして楽しめました。
一度目の卵子提供は着床せず、残念ながら失敗に終わってしまいましたが、二度目の時に無事に着床し、妊娠検査が陽性となりました。信じられなくて何度も何度も妊娠検査薬を試し、その度に陽性の結果が出ることを確認しました。その時の飛び上がるような嬉しい気持ちは今でも忘れません。
こうして無事に妊娠にいたってからは本当に順調で、なんの問題もなく出産できました。
産まれてきた赤ちゃんはとても元気で丈夫な子で、よく飲んでよく泣き、よく眠ってすくすくと育っています。
とても健康な卵子を提供してくださったドナーさん、そしてこうのとり診療所の皆様には本当に感謝しています。
私のように閉経が理由で妊娠ができない方だけではなく、何らかの理由でなかなか妊娠することができない方も、すぐに卵子提供を受けることを検討すべきだと思います。不妊治療はとても高額です。そして時間もかかり、精神的にも負担がかかると聞いています。それであればいつまでも自分の卵子で子供を授かることに固執せず、少しでも早く卵子提供を受けて出産することを検討したほうがいいと思います。
自分の卵子じゃないと、自分に似ていない子が産まれるのではないかと心配するかもしれませんが、そんな心配は一切無用です。自分が連れて歩いている時は、大抵の人が「ママに似ている」と言ってくれます。夫が連れて歩いている時は「パパに似ている」と言われています。他人の目はそれぐらいいい加減なものです。また、自分の卵子じゃないと産まれた子を可愛いがれないのではないかと心配するかもしれませんが、そんな心配も無用です。実際に私も出産してすぐの頃はまだ自分の赤ちゃんということが信じられない気持ちというか、神様から預かった命のような不思議な気持ちがありましたが、毎日お世話をしているとこの子の母親は自分しかいないのだという自覚が芽生え、赤ちゃんのほうも私を全面的に頼ってくれて、それが日に日に増していくため、どんどん可愛く思う気持ちが強くなってきています。抱っこしている時の幸せな気持ちは何にも代え難いです。私達夫婦の大切な宝物です。
こんなに素敵な宝物を与えてくださったこうのとりの皆様には本当に本当に感謝しています。悩んだり悲しんだりしていたかつての私のような女性達を、これからもたくさん救って欲しいと願っています。
最後、子供に伝えたいことは、「元気いっぱい人生をエンジョイして欲しい」ということです。
コメント:
1. 一度目の移植の際、ご両親と一緒に来院されたことを今でも覚えています。
ご夫婦が卵子提供を決めた時、ご両親から「あなたたちの選んだ選択肢なら支持するよ」と伝えられたと打ち明けてくださいました。
ご家族の理解、そしてご両親の支えにより、不妊治療の長く暗い道を一人で歩くこともなく、夜も穏やかに寝ることができたことでしょう。
2. 当院が開催した誕生日会(当院ご卒業・日本でご出産された方を対象)に、お母さまと赤ちゃんが参加してくださいました。
起きているときは、好奇心いっぱいの大きな目で会場にいる人を見つめ、疲れてしまうとスヤスヤとよく寝ていました。彼女もお母さまも楽しいイベントとなったことでしょう。
3. コウノトリでの成績
成熟卵 | 正常受精 | 胚盤胞 | 移植した胚盤胞 | 結果 | |
---|---|---|---|---|---|
個数 | 20 | 14 | 8 | 1回目:5日目4AA | 妊娠せず |
2回目:5日目4AB 6日目4AB |
出産(単胎児) |
*実際の治療は医師の診断のもと行っていきます。
本文は編集当時の治療状況、及びご提案です。