卵子提供-卵子バンクVS新鮮卵子

コウノトリ生殖医療センターの卵子提供には卵子バンクと新鮮卵子の2種類があります。その違いについて説明いたします。

2017-10-30

著者 コウノトリ生殖医療センター

卵子提供-卵子バンクVS新鮮卵子

 コウノトリ生殖医療センターの2種類の卵子提供セットについて

今回は、コウノトリ生殖医療センターの2種類の卵子提供セットについてご説明いたします。
 

卵子バンクと新鮮卵子、それぞれのメリットとデメリット

卵子バンクの場合、ドナーの女性は検査を終えて既に採卵まで完了し、卵子を当院で凍結保存しています。
受精可能な状態(MⅡ)まで成熟した卵子の数は平均10個以上です。
卵子の融解時の生存率が100%ではないというリスクが有りますが、当院での融解後の生存率は平均92%となっています。
 
新鮮卵子の場合、ドナーの女性は検査を終えてはいますが、採卵はまだ行っていません。
マッチング完了後に採卵を行い、卵子の凍結をせずに受精を行います。
採卵時の卵子の個数、および採卵後に受精可能な状態まで成熟する個数が事前にわからないというリスクがあります。
更に、採卵周期に入った後に満足な数量の卵子が採取できないと医師が判断した場合、その周期での採卵が中止となる場合もあります。
メリットとしては、卵子の凍結を行わないため融解時における卵子の損傷のリスクがありません。
 

卵子バンク

新鮮卵子

メリット

待ち時間が短い

卵子の数量が事前にわかる

費用が安い

凍結解凍時の損壊リスクがない

デメリット

費用が高い(凍結解凍費用)

凍結解凍時の損壊リスク

卵子の数が不明

採卵中止のリスク

待ち時間が長い

初診から移植まで

約1-3か月

約3-6か月

 多くの方は凍結融解の技術に対して不安もあるかと思います。
当院では、日本の桑山博士が開発したガラス化凍結法という技術を用いて2009年11月に初めて凍結融解卵子での出産に成功しました。
以下に示すのはコウノトリ生殖医療センターでの2015年から2017年4月までの凍結卵子の融解後の生存率、受精成功率、グレードの良い胚盤胞までの発育率を示しています。
当院での融解後の生存率は92%以上となっています。

表の右側は、ドナーからの提供卵子における各項目の成績です。当院の厳しい審査基準を通過したドナーということもあり、全ての項目で当院平均を上回る数値となっています。
卵子を10個採卵できた場合を考えると、融解後に9個の卵子が生存し、6個の卵子が受精卵となり、5日間の培養を経て3-4個の卵子がグレードの良い胚盤胞まで発育します。
院内の統計では、3-4個の胚盤胞があれば90%の方がお子様を授かることができています。
 

期間

2015-2017.4

凍結卵子総数

15302個

 

総数

ドナー

凍結融解卵子数

5501個

3688個

生存率

92.1% (5064個)

92.7% (3417個)

受精率

73.3% (3710個)

76.2% (2605個)

良好な胚盤胞率

58.8% (2180個)

61.5% (1603個)

では、新鮮卵子と凍結卵子の差はどうでしょうか。当院の統計における両者の比較です。

受精率(79% vs. 76%)、3日目の良好な胚盤胞率(62% vs. 56%)、5日目の良好な胚盤胞率(65% v.s 62%)。

卵子の凍結技術の発達により、凍結融解による影響は数%のみとなっています。

こちらもご参照ください。
卵子提供

*現在、当院では、卵子バンクのみの扱いとなっております。
 

*実際の治療は医師の診断のもと行っていきます。
本文は編集当時の治療状況、及びご提案です。