2016-02-01

下腹の激痛に注意!卵巣嚢腫茎捻転の恐ろしさ

華人健康ネット【文/産婦人科医師】
 
37歳の琳達さんと旦那さんは結婚して5年になります。
結婚後2人は意図的に避妊をしていたわけではありませんしたが、残念ながらお腹が大きくなるような知らせは中々来ませんでした。
自分の父、母親又は舅、姑たちは、皆いつも「ほのめかすような」又は「はっきりとした」態度で、2人の妊娠計画に関心を持っていました。
年の暮れが近づき、夫婦2人は医療の助けを求めることに決めましたが、いくつかの検査を行っても2人の生殖機能に特別な問題は見つかりませんでした。
高齢出産の段階に入っているため、彼女たちは直接体外受精による治療を選択しました。
 
卵巣機能が良好な状態なので、順調に20個の卵子を得ることができました。
卵巣を過剰に刺激することを心配していたため、医師は彼女に採卵をした周期で移植には入らず胚を凍結保存することを提案し、翌月まで待って移植を行いました。
1週間が経ち、琳達さんはお腹に何も違和感を感じなかったので、彼女が普段より行っている運動を再開しました。
2日後の夜、彼女が1時間の有酸素運動を終えたとき、突然下腹に強烈な痛みが生じ、吐き気を感じました。
その時は夕食にあたったのかもしれないと思っていましたが、体はどんどん弱っていき、めまいがするほどでした。
旦那さんは彼女の様子がおかしいことを見て、すぐに救急へ連れて行き、一通りの検査を行ってみたところ、医師は卵巣が排卵誘発剤の刺激により、いくつかの黄体嚢胞を形成したか、或いは運動を激しくし過ぎたため、嚢腫が反転して腹痛を引き起こしている疑いがあるとしました。
そのため、腹腔鏡下手術により卵巣を元の位置に戻し、壊死に瀕する卵巣を救い、3日間の入院をして順調に退院することができました。
 
卵巣嚢腫茎捻転は産科救急の疾患であり、早期に発見できずに処置が遅れた場合は、卵巣が壊死して摘出しなければならなくなり、こうなると将来の生殖能力に間違いなく影響してきます。
卵巣の捻転が起こったときは、嚢腫は動脈から血流が流入し、静脈の血流は流出することができないため、急速に増大します。
増大する範囲は限りがありますが、小さい場合でも15センチを超えます。
捻転が2、3日以上になると、卵巣組織は壊死し始め、この時には卵巣の摘出手術を行わなければなりません。
奇形腫は捻転した卵巣腫瘍において最も多く発生するもので、その他には卵巣の悪性腫瘍又は炎症による嚢腫があります。
更には排卵誘発剤を投与したことにより卵巣腫大を引き起こして捻転が生じることがあり、特に腹部を激しく揺らすと、捻転が起こりやすくなります。
 
卵巣嚢腫茎捻転が発生した場合、一般的には腹部に強烈な痛みが生じて冷や汗が出ることがあり、同時に吐き気をもよおします。
一部のみが捻転している場合は間歇性の痛みとなり、短時間内で納まりますが、また発作を繰り返します。
腹痛は通常腹部に力を入れたとき、運動や性行為の後に起こります。
繰り返し腹痛が起こる場合はすぐに手術を行わなければならず、捻転している部分を開けて、早急に卵巣の壊死によって摘出しなければならない事態を回避します。
 
2、3か月間安静にして体が元通りに回復したので、琳達さんは妊娠計画を再開しました。
2個の良好な胚を移植して、ようやく願いが成就し、双生児を妊娠しました。
生命の危機を経験しましたが、現在は家族全員で2人の新しい生命を迎える準備をしています。