2016-02-03

女性パイロットが母になることを切望 卵子の凍結保存は青春の希望

華人健康ネット【文/産婦人科王懷麟医師】

妊娠を後回しにせざるを得ない女性の多くは卵子凍結を選択し、将来ママになる夢を叶えます。

子供の頃に大空を旋回する飛行機を見ながら、将来はパイロットになり、大きくてカッコいい飛行機を操縦し、広大な空の彼方を思うままに飛び回りたいという夢を持っていました。
大人になってからは時々空港で制服を着た機長を見ることがあり、幼い頃に憧れていた気持ちが思わずこみ上げてきます。
パイロットとして高い専門知識や技能が必要となるだけでなく、同時に冷静な思考能力や思い切って判断する度胸があることも必要です。
機長は搭乗している全ての乗客の生命の安全を守る使命を背負っているため、少し決定を間違ったことにより不運な事態が発生することは許されません。
しかし、機長になるという夢を叶えた彼(彼女)達は、自分自身の人生の重要なタイミングでも後悔しない決定をすることができるのでしょうか?

44歳の彼女が診察室に入ってきたとき、顔には厳しい表情を浮かべていたので、第一印象は、粛然としてまるで襟を正させるような雰囲気を持っていました。
話し始めたときは礼儀正しく、力強く、明瞭で、診察前に全ての課題をこなし、既に心の準備を済ませているような印象を受けました。
「先生、私は卵子凍結がしたいです。」カルテの最初のページを見てみると、既婚にチェックがついていなかったため、どうして急いで出産の機会をつかまずに卵子凍結をしたいというのか、思わず好奇心が沸いてきましたが、それと共に彼女の考えが少し理解できませんでした。

詳しく問診をしてみると、やはり彼女は旦那さんと4年前に結婚していました。
自分自身で既に高齢の段階に入ってることは分かっているので、結婚後はできるだけ早く子供をつくる計画をしていたのですが、この時旦那さんがパーキンソン病に罹っていることが分かりました。
そのため長期的な治療が必要となり、病気のために薬を飲む関係で、旦那さんの健康状態と性機能は順調に応じることができず、医師にはそのうち短い段階で妊娠計画を行うことはできなくなるかもしれないと判断されました。神様が彼女をからかっているかのように、彼女の本来の人生計画は全てが変わってしまいました。
彼女はかつて旦那さんと妊娠について話し合いを持ちましたが、病気の状態が不安定で、且つ旦那さんは精子提供を受け入れる気はなかったため、このように引き延ばした結果3年が過ぎてしまいました。

彼女の青春は今後も引き延ばし続けることができるでしょうか?

外見は年齢を止めることができても、妊娠力は待ってはくれません。
旦那さんの病気がこれからも続くのであれば、一人の女性が母親になりたいという夢は、どんどんつかめなくなるでしょう。青春は過ぎ去れば戻ってはきません。
なぜ先に卵子を凍結保存して未来の幸せを守ろうとしないのでしょうか?彼女は普段の自分の専門である冷静な判断力に頼り、毅然としてこのような決定を下しました。
そのため彼女は計画を開始し、忙しいフライトスケジュールの中でも、空いた時間を作って卵子凍結治療を進めていきました。

愛の結晶を持つことは多くの夫婦の願望です

パイロットの仕事は不定時で、移動も多いため、台湾での滞在はごく短い期間となりました。そのため診察室にいたのはどのくらいだったか分かりませんが、いくつかの治療方法を組み立てました。
目的は最良のタイミングを探し出し、彼女が順調に採卵ができるようにすることです。
普段から、彼女は仕事柄健康な身体を保持しているので、彼女の卵巣機能は若い状態を維持しており、1回の採卵で14個の卵子を採取することができました。
このことは彼女を安心させました。そのため、早朝に採卵をした後、夜には軽くなった気持ちのまま、また飛行機で世界の彼方へと飛んで行きました。

私たちが全力を尽くして経営を行っているときでも、思いがけない事態により対応が間に合わず、計画が変化に追いつかないことがありますが、これも人間の知恵と能力を試されているのだと思います。
この機長さんからすれば、彼女の長年の飛行経験の中で、今まで飛行中にいくつもの突発的な状況に遭遇したことがあるはずです。
彼女は冷静に問題を処理しなければならないことを知っており、迅速に反応することにより各問題を解決し、全ての旅行客を無事に着陸させることで、今まで円満に任務を達成させてきたのでしょう。
彼女が自分の幸せと向き合った時、やりきれない気持ちも有ったでしょうが、自分の妊娠力を保存するにはどのように計画すべきかを理解していました。
私は、彼女が操縦する幸せのフライトは、将来必ず飛び立つことができると信じています。