モザイク型染色体胚とは同時に染色体異常(ANEUPLOID)と正常(EUPLOID)の2種の細胞株があることを指します。
PGS検査の結果では異常と正常の間に位置しているのが見られます。これらの胚はグレーゾーンに位置しているため、多くの不妊症夫婦が移植するかしないかの難題に直面します。

 

時代と科学技術の進歩に沿って、着床前染色体スクリーニング検査(preimplantation genetic screening, PGS)方法が、過去15染色体までのFISHしか検測できなかったものが進化し、
精密度10Mbに達するNGS (Next Generation Sequencing)が検出されるようになりました。子どもが欲しい高齢夫妻はより正確に良好胚を選出し移植が行えます。

 

分析の精細度が向上したことにより、NGSはより精確に低比率異常(low-rate aneuploidy)を検測できるようになり、元の胚領域にモザイク型染色体胚(Mosaic embryo、以下モザイク胚)を増加させました。
モザイク型とは一つの胚盤胞内に同時に染色体異常(ANEUPLOID)と正常(EUPLOID)の2種の細胞株があることを指します。
PGS検査の結果では異常と正常の間に位置しているのが見られます。
これらの胚はグレーゾーンに位置しているため、多くの不妊症夫婦が移植するかしないかの難題に直面します。



 

2019年の欧州生殖医学年会で、スペインにある遺伝子検測会社IgenomixのCarmen Rubio博士は彼らと世界各地の生殖センターとで共同研究したモザイク胚の一部研究成果を発表しました。

モザイク胚の通常の発生率は5－10％であり、この確率は生検(Biopsy)とNGS検査の影響を受けます。
もし採取した細胞数が少なかったり、細胞の質が不良の場合NGS分析の過程でノイズ信号が多くなり、分析結果に影響を及ぼす可能性があります。



 

その他、彼らはそれぞれの生殖センターにおけるモザイク胚の異常比率の定義に対して異なる分析を行いました。
するとモザイク胚に対して厳密に解釈しているグループ（異常細胞率20－80％をモザイクと称す）と比較して、寛容なグループ（異常細胞率30-70％をモザイクと称す）の胚は
正常率(Euploid rate)と妊娠率(Pregnancy rate)ともに上昇していました。
Carmen Rubio博士は真の正常胚を見逃さないためにも各生殖センターのモザイク胚に対する標準を調整した方がいいと伝えています。

また、Carmen Rubio博士はモザイク胚の移植に関しこう提唱しています。

移植できる正常な胚がない場合にモザイク胚の移植を考慮します。
移植前に医師とコンサルタントが夫婦に十分な理解をしてもらいます。モザイク胚は正常胚と比べてその着床率は低く、流産率も比較的高くなっています。

モザイク胚の染色体異常の位置が複雑型(complex mosaics)であるのと、研究上すでに知られている流産や奇形と関連のある染色体を選ばないようにしましょう。