精子が卵子と出会ったら受精する可能性があります。順調に細胞分裂が進み胚盤胞となり、新しい命が生まれます。
しかし主人が無精子症(Azoospermia)で奥さんが卵巣衰退(DOR)だったらどうしますか?
無精子症は男性精液内に精子がない事を指し、無射精(Aspermia)とは異なります。
無精子症は睾丸にて精子が製造されない可能性があり、精子バンクの利用のみ妊娠が可能です。
卵巣機能の衰退は卵巣内の卵子量と質の低下を指し、ある一定の数値まで低下してしまうと妊娠困難となり、卵子提供のみ妊娠が可能となります。
もし夫婦同時に不妊の危機に面した場合どうすればいいのでしょうか?
台湾では同時に卵子と精子の提供ができるのか。もし法律が同時の卵子精子提供を認めなかったらどうするのか。
Lさんは今年44歳、晩婚の彼女は4年間努力をしたが結果は実らず、ご主人が不妊検査を行ったところ無精子症であることがわかりました。
染色体検査でクラインフェルター症候群、つまり染色体が一本多い(47XXY)であることが判明しました。この症候群は睾丸の先天性発育不良を合併して起こることが多く、精子が製造できない状態になります。奥様の生理周期はとても規則正しく、平均28日周期で生理が来て2-3日で終了します。しかしこの1-2年だんだんと生理が少なくなる傾向にありました。
奥様の年齢を見てみると、少し落胆しました。患者様のカルテを見る習慣がある私は、ハッキリともう彼女の貴重な時間を無駄にしてはいけないと思い、今できて且つ一番早い手段は体外受精しかないと判断しました。卵子量が多くない事が心配で、確率も低いものでした。2回の血清FSH値を見ると14.7と13.9だったため、まだ少し希望はあるかと思いましたが、もう一つの指標AMH値を見てみるとたったの0.67しかありませんでした。これは楽観視できません。
彼女のために一回目の体外受精をスケジューリングし、幸運にも5個の卵子が採取できました。
うち4個は良好卵子で顕微授精(ICSI)ができるもので、さらにうち3個は受精し、3日後に3個の成長速度が落ちた胚盤胞を移植しました。
結果、妊娠には至りませんでしたが、私は彼女を励まし続けました。先半年という時間を設けまた3-4回頑張ろうと伝えました。もう他に方法はありません。
現在台湾ではこのような夫婦に対し、卵子提供・精子提供のどちらか一択のみで、両方選ぶことは許されていません。もし半年後いい結果ではなかった場合、次の一歩はどうすればいいのでしょうか。養子を取るか海外にて治療をするかは全くの別の道です。時間を見つけては彼女たちに伝え、心の準備をさせたいと思いました。
中国語のことわざ「鴨は春水の温いを先に知る」というように、生殖医療に長年携わっている事から、人類の妊娠率が年々低下していることを先に知ることができました。
私たちは喋れる鴨になり、女性たちに青春は永遠ではないことを知らせる必要があります。妊娠力もそうですし、学業、事業、そして出産を合わせ持つ事は容易な事ではありません。必ず取捨選択することになります。もし子どもが2人欲しい場合、できれば35歳前には努力し始め、38歳前にはこの大事を完了させましょう。
自然の成り行きに任せないように、そして、自分の妊娠能力を過信しないでください。私たちは全ての挙児希望の女性たちの願いが叶うことを願っています。
最後に、最も重要なことをお伝えします。
30歳を過ぎた女性で且つまだ出産経験のない方、既婚未婚問わず毎年時間を見つけて、生理の1-3日目に生殖医療クリニックで卵巣機能のチェックしてください。
日頃から良好な生活習慣を保つことで卵巣の老化を遅らせることができます。



