もしあなたが42歳で独身だとしたら、不妊治療のために卵子凍結を考えますか?
家族や友人からやめるよう言われたり、医師からさえ「この年齢では成功率は極めて低いです。卵子を凍結してどうするのですか?」などと冷や水を浴びせられても、あなたは自分の意思を貫く勇気がありますか?
42歳で2人目の子供を授かりたいと思い、4回の人工授精、1回の体外受精でも成功しなかったとしたら、別の方法を試してみようと思いますか?
誰かに「十分な数の卵子を採取してもう一度試した方がいい」と勧められたら、すでに自信を失っているあなたはどうしますか?
半信半疑のあなたは、Yahooで検索するかもしれません。
すると検索結果にはなんと、妊娠成功率が2割以下、流産の確率は3割にも上るという情報が。これでは今まで持ち続けてきた自信も粉々になってしまいます。
諦めきれないあなたは、次はGoogleで検索。結果は更に悲惨で、この年齢で良い卵子のできる確率は4割以下、毎回の受精後の出生率は1割に満たないとのこと。今度はSNSで経験者の声を聞いてみると、やはり同じような情報ばかり。
それでもあなたは卵子凍結で子供を授かることができると信じられますか?
今回のお話のでご紹介する42歳の女性は、娘さんが3歳になった時から、2人目の子作りに励んできました。
人工授精を4回、体外受精を1回経験し、その間に自然妊娠が1回ありましたが、胎児の心拍が確認できず流産してしまいました。
現在娘さんは8歳になり、42歳になった女性は卵巣機能の衰えという悪夢にどう立ち向かえばよいのか悩んでいました。
本院での初診の時に、女性は2年前にいくつの卵子を採取したかを忘れていました。
覚えていたのは、最終的に3つの初期胚を移植して妊娠できなかったことだけでした。自信を喪失し、周囲からも治療の継続に理解を得られず諦めるしかなかった彼女でしたが、最近になって体外受精に成功した同僚から、もう一度トライしてみるよう励まされたそうです。
卵子在庫量の指標AMHが0.48しかない場合、妊娠できるチャンスはどれぐらいあるのか?
薬や技術で卵子の質を高めることはできるのか?
できないのであれば、チャンスを増やせるより良い方法はないのか?
卵子または胚盤胞を収集するのに、どの方法が彼女に適しているか?
こうした問題について一つ一つ検討した結果、女性は凍結保存を利用して卵子の収集を行うことにしました。
1回目は熟成した卵子を1個採取し、凍結保存しました。
2回目に4個の卵子を採取しましたが、その内成熟卵子は1個だけでした。
3回目は5個の卵子を採取して、その内の4個の成熟卵子を凍結保存し、最後の1回は採取した卵子1個が発育不良でした。
結果として、合計4回の採卵で凍結保存できた成熟卵子は6個でした。卵巣機能が正常な人であれば、1回で採卵できる量はこれよりも多くなります。
この女性は学校の教師で、時間に余裕のある冬休みを利用して移植を行いたいと考えていました。
その一方で、最後の採卵数が1個だけで、しかも質が良くなかったために、これ以上採卵する自信がなくなっていました。
そのため、最終的に残った6個の卵子に望みを託すしかありませんでした。この方法で彼女の願いは叶うのでしょうか。
凍結保存した6個の成熟卵子を冬休みに合わせて融解し、体外受精を行いました。
その内5個が正常に融解でき、受精できたのは2個だけでした。
培養2日目では胚の状態は普通のグレードでしたが、3日目には1個の胚を一番良いグレードまで培養することに成功しました。
グレードの良い1個の胚と普通のグレードの胚が1個。
これらをより良い環境で発育させるため、胚盤胞へ分裂する前に移植を行いました。
高齢で子供を授かることは本当に困難なことです。
卵子の質が妊娠率に大きく関係するため、卵子の老化を引き起こす年齢という課題を克服できる人は少ないです。
この女性は4回の採卵で11個の卵子を採りましたが、最終的に受精した卵子は2個だけでした。
この様な状況は、この年齢ではよく見られることです。
卵子の質、発育力は年齢に大きく左右され、時間が経つにつれてリスクが高まって行きますし、子供を授かりたいと思う人にとっては、選択肢も限られてきます。だからこそ奇跡を待つよりも、一刻も早く対策を練り、最適な方法を選択するべきなのです。
この女性の胎児もなんとか順調に発育し、2週間前に羊水検査をしました。
モニターには元気そうな様子の胎児が映っていて、この女性の夢が確実に現実へと向かっていることが実感できました。
女性は、42歳という年齢でも卵子凍結により子供を授かるチャンスがあるということを身をもって証明したのです。
勇敢に問題に立ち向えば道は自然と開けていきます。
信じる心を持ち、正しい方法で努力すれば、年齢という壁を乗り越えることも可能なのです。



